ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

発信!北九州

優先されるべきは患者の命~九州厚生年金病院の「職業倫理」を問う(4)
発信!北九州
2013年8月27日 07:00

 北九州都市圏屈指の総合病院として知られる九州厚生年金病院。その九州厚生年金病院の対応を巡り、ひとつの訴訟が動き出そうとしている。形の上では同病院と地元個人病院との確執が表面化したものだが、背後には、その上層部が抱える患者(受益者)軽視の姿勢と、医師の理論が支配する居丈高な体質が見え隠れする。地域医療を共に担う「地域医療支援病院」と地元医院との関係はいかに在るべきか――。

7.医療事故を誘発する可能性も
 以上は、法的な側面から九州厚生年金病院・M副院長の発言の不当性を見てきた。しかし、何より優先されるべきは、受益者である患者の立場からの視点であろう。ある病院で治験医院を務める地元経済人は、医師・医院間のわだかまりに理解を示しつつも、「こうした発言は、医療事故を誘発する可能性もあり慎むべきもの。指導すべき委員会が機能していない可能性もある」とコメントする。

tenteki_1.jpg すなわち、地域医療の現場は限られた人員と機材であらゆる症状の患者に対処せざるを得ず、必然的に地域の大病院との連携が必要となる。国が地域医療支援病院制度を設けたのもこうした理由に基づくものだが、地域医療支援病院による紹介患者受入拒否の通告は、特定の病院の患者から地域医療支援病院の治療を受ける機会を奪うことに他ならない。ましてや、九州厚生年金病院が主張するように「(医師間の)信頼関係」が損なわれたことが原因だとしても、それは患者にとっては何の関係もない事情である。事情を知らぬまま特定の病院を受診し、適切な病院に紹介されなかったことで患者が命を落とすような事態、それはまさに医療事故以外のなにものでもない。

 弊社からの質問状では、同院委員会(治験委員会や倫理委員会など、外部有識者を交えた各種委員会がある)の回答を求める項目も含まれていたが、残念ながら、同様にノーコメントとされた。取材以降も、後藤医院と九州厚生年金病院との関係に改善は見られない。先のコメントが指摘する委員会の機能不全だが、この点も一概に否定できない状況があるといえよう。

8.改めて職業倫理を問う
 今回の取材を通じて、九州厚生年金病院の光と影の部分が、図らずも浮き彫りになったように思われる。現場サイドに対する高い評価と上層部に対する辛辣な評価は、図らずもこうした光と影に符合する。

 本件を伝え聞いたある業界関係者は、「我々は医師ではないが、『人の命と向き合っている』という認識だけは欠かしたことがない。社員には輪番で携帯を持たせ、24時間いつでも対応できるようにしている」と語る。とはいえ医師も人間である。医師や病院間の確執が今回の事態を招いた点についてコメントを求めたところ、「大切なのは、受益者は誰かという視点。医師同士の人間関係を理由に患者に害を及ぼすような行動をとるなら、即刻、医師を辞めるべきだ。我々が携わる人の命は、それだけの価値と重みを持つ」と切って捨てた。

 冒頭に紹介した電話記録を振り返れば、厳しい言動を繰り返した(であろう)後藤院長の発言が常に患者目線であったのに対し、M副院長の視点は、自身と後藤院長、あるいは部下である医師と後藤院長の関係に終始している。「患者の利益」は、医師同士の良好な関係のなかに位置づけられているに過ぎない。

 本件は、見方を変えれば、後藤院長が経営する病院にとって不利益にもなりかねない事案である。それでも弊社の取材に応じた理由につき、同氏は「他の総合病院との連携はとれており、不都合はない。ただ、M副院長らの患者を軽んじる姿勢が許せなかった」と語る。
 時を置かずして、本件は訴訟の場に持ち込まれる公算が高い。M副院長の発言の是非にとどまらず、その職業倫理、さらには九州厚生年金病院における地域医療支援病院としての資質も改めて問われることになろう。

(了)
【田口 芳州】

≪ (3) | 


※記事へのご意見はこちら

発信!北九州一覧
発信!北九州
2013年4月 3日 11:28
発信!北九州
2012年12月30日 07:00
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
流通メルマガ
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル