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SIDSとALTEの闇(2)~久保田医師「出生直後の寒冷刺激が赤ちゃんを脅かす」
社会
2013年9月10日 15:12

kangaroo_s.jpg 厚生労働省が推奨する分娩直後のカンガルーケア(早期母子接触)に対して、警鐘を鳴らす医師が福岡市にいる。福岡市中央区の久保田産婦人科麻酔科医院の院長、久保田史郎医師だ。産科医と麻酔医(麻酔科標榜医)の2つの資格を持つ同氏は、麻酔医の視点から出生直後の新生児の体温管理(保温)を重視し、1983年の開業以来、延べ1万4,000人の赤ちゃんを取り上げてきた。

 久保田医師は、分娩直後のカンガルーケアが普及することで、窒息やチアノーゼの赤ちゃんが増えることを予測していた。窒息の理由は、分娩室でのカンガルーケアは母親の胸の上で赤ちゃんは「うつ伏せ寝」の状態になるからだ。また、チアノーゼは、分娩時の寒冷刺激が強すぎ、呼吸循環動態が不安定になるからと説明する。

 厚労省・学会・産科医療補償制度の原因分析委員会は、カンガルーケア中に発生した心肺停止の原因を「特定できない」とし、原因不明のSIDSニアミス、ALTE(乳幼児突発性危急事態)と主張するが、久保田医師はうつ伏せ寝による「窒息」、出産直後の「寒冷刺激」がヒヤリハット事例・心肺停止の原因であると、国・学会の原因不明説を真っ向から否定する。「原因不明のSIDS、ALTEは国・医療側に都合の良い診断名。国民は、国・医療側に原因不明のSIDS、ALTEで騙されてはいけない」と注意を促す。

 久保田医師は、赤ちゃんのチアノーゼ(低酸素血症)の原因は、分娩時の "寒冷刺激"が引き金と指摘する。日本の分娩室は大人に快適だが、裸の赤ちゃんには寒過ぎるからだ。「寒冷刺激」とは、子宮内(38℃)と分娩室(24℃~26℃)の環境温度差(約13℃)を指す。
 寒冷刺激をうけた出生直後の赤ちゃんは、生後1時間以内に体温が約2℃~3℃下降するのが一般的。その体温下降を生理的現象と安易に考え、医療側は体温管理(保温)を怠っているが、久保田医師は一過性の "低体温ショック"に近い状態と、体温管理の重要性を学会などで訴えてきた。久保田医師は寒冷刺激の危険性を次の様に話す。

 「日本の寒い分娩室(24℃~26℃)で新生児の体温管理(保温)を怠ると、児は放熱を防ぐために手足の末梢血管を持続的に収縮する。出生直後の寒冷刺激は手足の血管だけでなく、同時に肺血管も収縮させ、呼吸障害の原因である肺高血圧症(チアノーゼ)を誘発する。肺血管が収縮すると心臓(右心室)から肺へ流入する静脈血が胎児期の動脈菅・卵円孔を通過するため、静脈血は肺でガス交換(酸素化)されないまま血中を循環することで全身にチアノーゼ(紫色)が出る。先天的な心臓病を除けば、新生児のチアノーゼは原因不明ではなく、放熱を防ぐための持続的な末梢血管収縮が主な原因。チアノーゼは低酸素血症の危険信号であり、心肺停止の危険因子であることは医学的常識だ」

 久保田医師はカンガルーケア中の心肺停止事故や発達障害児の増加は、チアノーゼや低血糖症を防ぐための予防医学(保温)が現代のお産に欠如しているからと強調する。同氏は開業以来30年間、出生直後の体温管理(温めるケア)でチアノーゼや低血糖症を防止してきた。また、新生児黄疸は出て当たり前と考えられているが、寒冷刺激を少なくする「温めるケア」で、治療を要する重症黄疸は激減すると、1万人の臨床データを9月15日の福岡県産婦人科学会で発表の予定である。

 さらに、原因不明と考えられている発達障害児の増加は、分娩時の寒冷刺激によるチアノーゼ(低酸素血症)・低血糖症・重症黄疸などによって脳に永久的な障害を引き起こしている可能性もあると、予防医学の重要性を訴える。久保田医師によると、日本で昔から出産時に行なわれていた「産湯」は、部屋の室温を上げ、寒冷刺激を少なくする役割があったのではないかと話す。

 久保田医師自身が行なっているのは、出生直後の寒冷刺激を少なくする新生児管理「温めるケア」である。具体的には、出生直後から生後2時間保育器内(34℃⇒30℃)収容で出生直後の恒温状態への安定を促進し、呼吸循環動態が安定した安全な状態で母子接触を行なっている。「さらに、カンガルーケアの場合、『うつぶせ寝』(右上画像参照)となり、新生児が窒息する危険性がある。厚労省は母子手帳にSIDS(乳幼児突然死症候群)から赤ちゃんを守るためにうつ伏せ寝は止めましょうと注意を促している。カンガルーケア中のうつ伏せ寝に窒息の危険性はないのか、窒息の危険性があるのならば、厚労省は直ちにカンガルーケアを中止すべきである。」(久保田医師)

 カンガルーケア中の心肺停止事故が繰返されるもう1つの理由として、赤ちゃんの全身状態の観察がまったくできない点を久保田医師は指摘する。寒い分娩室で保温のためにタオル・毛布で体を覆われた赤ちゃんを観察することは極めて困難。久保田医師は、赤ちゃんを発達障害・脳性麻痺から守るために、出生直後のカンガルーケア(早期母子接触)は絶対に行なうべきでないと、厚労省の「授乳と離乳の支援ガイド」を即刻見直すべきと訴える。

 「出生直後のカンガルーケアは、厚労省の推奨によって日本の6割超の医療施設で実施されている。すでに日本の未来を担う多くの子どもたちが危険にさらされてきた。本当のところ、原因不明のSIDS、ALTEは、責任逃れの口上だ」と、久保田医師は指摘する。そして、産科医療補償制度の原因分析委員会に対し、カンガルーケアを推奨する産科医・小児科医・助産師だけでなく、気道確保・呼吸・循環・体温・術後管理などの全身管理を専門とする麻酔科専門医を入れた第三者委員会にすべきと、現在の原因分析委員会の構成に疑問を投げかけている。9月11日、大阪地裁の判決が注目される。

(つづく)
【山下 康太】

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▼関連リンク
・久保田産婦人科麻酔科医院


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