25日、佐賀県武雄市など７自治体・関連団体からなる「日本自治体等連合」がシンガポール事務所を開設した。シンガポールを拠点にASEANへ各自治体の特産品を売り込むほか、観光客を呼び込むことが狙い。事務所費用などを各自治体で分担することにより、小規模自治体の進出が可能となった。
　これまでも県単位での取り組みはあったが、規模が大きくなることで、焦点がぼやけてしまったり、公平性を保つために、各自治体が自由に特産品をアピールできないこともあった。はたして、今回の７自治体の挑戦はどのような結果につながるのか。現地シンガポールで行なわれた開所式や展示会に参加した各自治体の様子を報告する。

＜企業からのヒントを得て、出展した福岡県大刀洗町＞
　安丸国勝大刀洗町長は「まずは７つの自治体だが、我々が頑張ることで輪を大きくしていきたい」と開所式で意気込みを語った。

　大刀洗町から出展された特産品は日本酒、レモネード梅酒、米、米菓子、ごぼう茶など。酒蔵からの商品が並んだブースは入口すぐにあったこともあり、入場したバイヤーはウェルカムドリンクとしてまず1杯試飲をしていた。

　場内に並べられた同町の散策マップには「筑後川や小石原川の清流が育んだうまい酒」との紹介があるように、町内には酒蔵が多い。そんなお酒について、おもしろい話を聞いた。海外出展のような場合、通常その酒蔵で最上質の酒を持って行くべきだと考えがちだが、今回の場合、実はそうではなかった。「シンガポールでは口当たりの柔らかい、甘いお酒が好まれる」との蔵元個人のマーケティング結果をもとに、出展品を選んだそうだ。また「梅酒はあるが、レモン味の梅酒は新しい。甘いお酒は人気が高い」と蔵元から次々とヒントを得て、商品を選択した。自治体と企業の連携がうまくいっているから、実現したことであろう。

　現地バイヤーから意外に注目を集めていたのが、ごぼう茶だった。鼻の奥まですり抜けるような独特の土の香り。まさしくごぼうだが、お茶にして飲むというのは一般的ではないようで、驚いていた。
　それぞれの特産品の値段は日本円での価格のみが表示されていた。シンガポールでの販売価格、最低取引量などは今後、バイヤーと共同事務所が相談して決定する。

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