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2014年中国動向を読む(前)
チャイナビジネス最前線
2014年2月17日 11:42

 中国共産党の第18期中央委員会第3回全体会議(三中全会)は、2013年11月12日に4日間の会議を経て閉幕した。習近平政権は、15分野の60項目で改革を決めた。経済にとどまらず政治や社会までの幅広い分野の改革を打ち出している。三中全会を現地で取材した、「中国経済新聞」編集長の徐静波氏に話を聞いた。

<中国における新しい時代の幕開け>
 ――まず、「三中全会」の模様を含めて、2013年の中国政治・経済を振り返っていただけますか。

 徐 静波氏(以下、徐) 胡錦濤政権から習近平政権に変わったことは、単に政権の交替だけを意味するものではありません。時代が変わったことを意味するのです。習近平政権は2023年まで2期10年続きます。それは同時に、中国における新しい時代の幕開けを意味します。

 ――時代が変わるとはすごい表現ですね。もう少し詳しくご説明いただけますか。

 中国経済新聞 編集長 徐 静波 氏 徐 中国建国以来の主たる政治の流れを考えてみます。毛沢東時代は神人政治、鄧小平時代は強人政治、江沢民と胡錦濤時代は常人・工程師(技術者)政治と言えます。そして、習近平政権は鄧小平政権に続く、第2次強人政治ということになります。
 鄧小平政権が「経済」に注力したのに対して、習近平政権は、経済はもちろんですが、それ以上に「政治・社会」の改革を実現していくことになります。中国では、今、何よりも、この政治・社会を強力に改革できる剛腕な人物の出現が期待されています。その点で、今回の三中全会で打ち出された一連の改革は間違いなく、この10年間で中国が大きく変わっていくことを意味しています。

<中国の社会問題はとても厳しい状況に>
 ――江沢民と胡錦濤時代の20年間が、常人政治とか工程師政治と言われるのはどういう意味ですか。

 徐 1978年の第11期「三中全会」で鄧小平政権は中国の「改革・開放」を決意、剛腕で中国の「経済」について抜本的な改革を行ないました。そして、その路線を踏襲、サラリーマン社長として、中国の経済を引っ張り、現在のGDP世界第2位の地位に引き上げたのは、江沢民、胡錦濤政権です。
 しかし、この20年間において、政治・社会の抜本的改革は行なわれておりません。

 ――経済政策も大事ですが、政治家の主たる仕事は、政治・社会のような気もします。20年間も放置されていたとはどういう意味ですか。

 徐 もちろん、細かな実務的対処はその都度行なってきています。しかし、国民が望んでいるのは「より良い社会」を構築する抜本的改革です。国民はさらに上を求めていたのです。そのために、胡錦濤政権が終わった時点で、中国の社会問題はとても厳しい状況にありました。中国国内各地で暴動が起こり、共産党幹部の汚職・腐敗は日常的になっていました。元鉄道相の劉志軍の収賄6,400万元(10億円)とか中国共産党元政治局員、薄煕来などご存じの通りです。そして、国民の不満が爆発寸前になっていたのです。
 わかりやすく言えば、2013年習近平政権は、赤字が連続、社員は不満だらけ、幹部はバラバラで、何よりも幹部と社員のコミュニケーションが円滑に行なわれていない会社を引き継いだようなものです。それだけに、社員(中国人民)の期待は、社長が変わると言う認識ではなく、会社そのものが大きく変わることを期待しています。つまり、中国人民は習近平政権に、歴史的な大転換を望んでいるのです。

<中国2度目の中央級「機構改革」推進の決意>
 ――日本の新聞報道の内容だけを読んでいると、今のお話と、だいぶ温度差がありますね。大仕事と思いますが、どのように進めていくのですか。

ch2.jpg 徐 今回の第18期「三中全会」でその全容が少し明らかになってきました。重要な点は大きく分けて2つあります。

 1つ目は、「国家安全委員会」の創設です。国家安全員会は、軍部、公安、外交、情報分野を総合的に管理する強力な機構です。その担当範囲は、内政、外政を網羅し、中共中央、国務院、全国人代、全国政協に継ぐ、中国の第5の国家機構となります。この委員会主任には、習近平主席が自ら就任、中国の最重要な方針決定を掌握します。これによって、共産党等指導者や幹部の腐敗もさらに厳しく取り締まることができるようになります。習近平政権が誕生して1年間で、副大臣クラスが30名近く逮捕されています。さらに過去に遡って、党指導者層の逮捕までおよぶ可能性もあります。

 2つ目は、「全面深化改革領導小組」の創設です。行政、経済、社会、文化改革の総合的な設計と執行を執り行なう中央の最高指導機構です。李克強総理自らチームリーダーに就任すると思います。中国のさまざまな問題、改革は深く困難な領域に入り、複雑に入り組んでいます。そこで、統合的に計画し、全体的な考慮をし、各方面の調整を強化する、トップデザインの必要性が背景にあります。
 鄧小平政権以来の中国2度目の中央級「機構改革」は習近平政権の改革推進に対する決意表明とも言えます。

(つづく)
【金木 亮憲】

| (中) ≫

<プロフィール>
 中国経済新聞 編集長 徐 静波 氏徐 静波(じょ・せいは)
東海大学大学院(文学研究科専攻)に留学後、同大学研究員、在日中国語日刊紙の副編集長を経て、2000年3月に株式会社アジア通信社を設立して代表取締役に就任。01年に日本初の中国経済専門紙「中国経済新聞」を創刊、編集長を兼任。04年にモバイル放送の番組「中国経済最前線」に企画、出演。08年に対中国人社会の中国語日本情報サイト「日本新聞網」を開始。09年まで早稲田大学特別非常勤講師。著書として「株式会社中華人民共和国」「日本経済の行方」他多数。


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