2013年11月現在、中洲のビル25棟、管理物件店舗650件の実績があるライン不動産（株）。650という数は中洲全体の約３割。中洲交差点のランドマークである第５ラインビルをはじめ、同社が取り扱う中洲にある「ラインビル」は10棟。取り扱い可能な物件では中洲全体の８割。不動産業者として半世紀を超える歴史を持ち、そのなかで築き上げた信頼は、95％前後という管理物件店舗の稼働率が証明している。

　同社は、ラインビル（株）の営業部から発展して1996年に設立。より中洲にとって身近な存在になるべく、2012年９月、中洲大通り沿いに新たに建てた第10ラインビルへ移転した。それにともない、深夜１時まで窓口をあけるサービスを始めた。「きちんと家賃を払う優良クライアント様ほど、接点が少なくなります。入れたら終わりではなく、すべてのお客様と出会う機会を増やすことがねらいです」と、村上剛社長は説明する。

　諸々の事務手続きや金融機関との関係上、昼過ぎにあけて夜まで営業するというわけにはいかない。それでも交代制で深夜１時までの営業を始めた。「直接の理由とは言えませんが、お客様が増え、業績もアップしております。遅い時間まで開けることに大きなメリットがあったと思います」と村上社長。夜中心の中洲経営者も立ち寄り、そこから仕事につながるケースが増えたという。

　現場の声を聞く機会が増えた。村上社長は、中洲活性化につなげるため、そうした声を拾い上げて世に働きかけていきたいという。「規制による健全化ではなく、規制緩和でメリットを与える健全化を考えてみてはどうでしょうか。たとえば、きちんと法令を守り、健全な営業をしているお店には、深夜２時までの営業を認めるといったメリットです。その許可をとるための営業努力で、自然と中洲全体が健全になっていくと思います」（村上社長）。

　新たに中洲で商売を始めたいという"水商売初心者"にも窓口を広げている。これまで蓄積された経験を基に、酒販、カラオケ、おしぼり、マットなど営業に必要な関連業者の紹介、開業に至る手続きや資金面の相談など丁寧な開業サポートを実施。もちろん、中洲に腰を据える不動産業者として「優良テナントによる中洲活性化」は基本だ。テナントの利用目的が不明瞭だったり、採算が合わなかったりする場合には助言を与えた上で反応をうかがう。決して素人だから断るということはないが、情報力を活かし、中洲の健全化を損なう恐れのあるところにはテナントを貸さない。窓口を広げつつも、行なうべきチェックは徹底し、健全化と活性化の両面から中洲の発展につなげていく。

　５年前、同社が呼びかけ、中洲を支えてきた不動産業者による協力体制を構築することを目的として、『中洲・不動産ネットワーク』を結成した。他のメンバーは、同じく中洲密着で長年、不動産業を続けてきた（株）榎本興産、（有）中洲Ｆビル。正式に加盟していないが橋本不動産も協力関係にある。中洲エリア最大の不動産ネットワークとして、公式サイトを開設し、各社の最新物件情報なども公開。日頃から、情報交換を行ない、不動産業務で中洲の健全化に貢献している。

▼関連リンク
・中洲・不動産ネットワークHP

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