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(株)水設は2005年2月に(有)水設として法人化され、11年4月に株式会社に組織変更された管工事業者である。福岡市早良区に本社を構え、創業者でもある田井錠二氏(49)が代表取締役社長を務める。従業員は15名。管埋設のプロフェッショナルが集い、とくに福岡市内における水道管路関連の工事を手がけてきた。
田井代表は高校卒業後、管工事関連の事業を手がける企業に入社。その後、1984年に地場の管工事会社に再就職して、管工事の熟練工として腕を磨いた。もともと独立への思いは心の奥底にあったものの、学卒後、誰からも慕われる熟練工として、20年を超える年月が経過していた。そんななか、05年2月に同社を設立して代表取締役として就任し、遅まきながら起業を果たした。
起業当初は、過去に在籍していた会社の下請けを主に手がけていたが、受注拡大の観点から営業先を開拓。熟練した技術と田井代表自ら経営者として営業展開を行なったことで、販路の拡充がなされていった。現在では、同業者の支援のもと下請けでの受注が充実。14年6月期では3億2,000万円の売上高を計上した。
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少数精鋭ではあるが、田井代表自ら従業員と共に現場で汗を流している。ユンボを動かすテクニックは熟練技術者そのもの。蒸し暑い現場においても、規則のヘルメットと長袖のユニホーム、安全靴は忘れない。同業者においても、同社と田井代表の真面目な仕事ぶりは大いに評価されている。
同社にとって下請けの受注は、会社として信用と信頼を得るための期間であった。その期間が終わり、ついには公共工事の入札ができるようになるのだ。そのためにさまざまな準備を行なってきた。まず、官庁の年度末の工事状況を想定して、12年には決算期を1月から6月へと変更。元請として工事を円滑に進めるためにも、先輩同業者から仕事の段取りや事細かな契約方法など、入札に関する準備も行なってきた。あとは参加するのみ。長い間、管工事に従事して、ようやく公共工事の元請となる。「元請となることは工事への責任も負うことですから、より精度の高い仕事が求められますね。反面、下請けと違って、収益面で違いが出てくるのはたしか。社会に貢献することと、会社を発展させるためにも、頑張ります」と田井代表は決意を新たにしている。
福岡市は過去に"渇水都市福岡"と揶揄されることもあった。1級河川を持たず、急速な人口増加で水源の確保がままならず、何度も大渇水を引き起こしたからだ。その苦い経験が同市を節水都市として成長させた。その1つに、地下に埋設された水道管における漏水が、福岡市は全国に比べて極端に低いという点がある。福岡市と管工事業者が努力をして、施工能力のクオリティが高まったのがわかる。
今までクオリティの高い工事に従事してきた田井代表。会社の仲間と共に熟練した技能を最大限に発揮し、これからの施工能力にさらに磨きをかけて社会に貢献していくのではないだろうか。
【道山 憲一】
<COMPANY INFORMATION>
■(株)水設
代表者:田井 錠二
所在地:福岡市早良区有田4-32-11
設 立:2005年2月
資本金:300万円
売上高:(14/6)3億2,000万円
TEL:092-873-6652
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