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<書評>田中秀臣「雇用大崩壊―失業率10%時代の到来」
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2009年4月 6日 14:29

【気になる本、ナナメ読み】 vol.13

 同書は、「日本でいま働く人々の不安と希望の喪失の現状を描き出し、ではどうしたらそれが解消できるのかを考えようと、緊急に出版」(p4-5)されたもの。戦後最悪の不況に直面した日本の失業率は悪化の一途を辿っている。政府発表のものは「真の失業率」ではなく、「隠れ失業者」も含めると10%を超えるおそれもあるのではないか、という問いかけから考察が始まる。

 「派遣切り」など人的資本のリストラが行なわれているが、大きな問題は新たな就職氷河期の到来とロスト・ジェネレーション世代(就職氷河期を経験し、仕方なく派遣労働者になった25~35歳の世代)の再生産にあるとする。また、構造的な「失業の長期化」ももうひとつの大きな問題だとする。

 著者によれば、日本のサラリーマン社会は正規従業員の「S層」、非正規従業員の「A層」、求職意欲喪失者の「B層」で構成されており、企業は景気が良いときはB層から安価な追加労働力を求め、不況のときはA層からB層への雇用調整を行なうことでS層の安定を保ってきたという。

 雇用の確保には結局、積極的な財政政策と金融政策の組み合わせしかないというのが著者の主張である。具体的には、インフレターゲットの導入(ここでは政策当局が国民に「インフレを起こす」と宣言すること、円安介入などを指す)とそれに伴う量的緩和政策、政府紙幣の発行、特別会計の余剰金(=「埋蔵金」)の充当など。

 従来の雇用や生活格差の議論にはこうした議論が失われていたと著者は言う。思うに、結局は失業者を減らす(=雇用を確保する)特効薬はなく、またバラマキ政策ではなく、眠っている消費や投資能力を掘り起こして経済のパイを拡大しない限り、人的資本の需用が生まれないということだろう。

【大根田康介】

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