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未来トレンド分析シリーズ

トヨタのリコール問題とアメリカ経済の危機的状況(4)
未来トレンド分析シリーズ
2009年12月25日 08:00
国際未来科学研究所代表 浜田和幸

 その結果、住宅ローンの支払いに行き詰まり、差し押さえを受け、住む場所さえ失う人々が急増している。サブプライムローン危機で、多くの低所得者層がホームレスに転落したが、今日では事態は一層悪化しつつある。それは支払いに問題がないとみなされていたプライムローンを組んだ人々の間でもローン破綻が増えてきたことである。フロリダ州では4人に1人がローンの支払に滞りが生じている。

 全米で500万世帯が銀行の住宅ローンの支払に困難を伴うようになったのである。今後も経済危機の進行が止まらなければ一層数多くの差し押さえ物件が発生することになるだろう。アメリカ全体では5,200万軒の住宅がローンの対象になっているが、その土台が今未曽有のペースで蝕まれ始めている。しかし、オバマ政権は何ら効果的な対策を打ち出していない。アメリカンドリームの象徴であった住宅を手放さざるを得なくなった数多くの国民たちの間では、オバマ大統領に対する当初の期待感が失望感に転換し始めている。

 このところ、アメリカでは拳銃の売り上げが急速に伸び始めた。過去においても不景気になると銃が売れ始めるという傾向はあったが、今回は異常なほどの売り上げ増が報告されている。アメリカの大手拳銃メーカー、スミス&ウエッソンでは「今後3年から5年にかけて毎年売上高が倍々ゲームで増えることは間違いない」と強気の生産計画を立てているほどだ。

 雇用の悪化が日常化し、社会不安が高まり、犯罪が急増しているアメリカにおいては自ら銃で防衛しようとする人々が増えている。スミス&ウエッソンでは今年の銃の売上額は3億3,500万ドルに達し、前の年と比べ30%の増加となった。同様にスターム&ルーガー社では70%の売り上げ増。他の銃機メーカーにおいても史上最高益が相次いでいる。FBIでは銃の購入者のバックグラウンド調査を行っているが、2009年9月だけで100万件を超えるチェックを行ったと言う。

 これまではスポーツ射撃や狩猟のためのハンティングライフルが売れ筋であったが、2009年の傾向はそうしたスポーツやレジャーのための銃の売れ行きは急降下し、護身用のリボルバーやピストルが爆発的に売れるようになった。牽引車となっているのは初めて拳銃を購入する人々であり、特に女性が主たる顧客となっているという。こうした動きに注目した投資会社では日本でもおなじみのサーベラスなどがレミントンやマーリン、ブッシュマスターなど銃機メーカーに対する投資を加速度的に増やしている。

(つづく)

【浜田 和幸(はまだ かずゆき)略歴】
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 国際未来科学研究所代表。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。

 ベストセラー『ヘッジファンド』(文春新書)、『快人エジソン』(日本経済新聞社)、『たかられる大国・日本』(祥伝社)をはじめ著書多数。最新刊は『ノーベル平和賞の虚構』(宝島社)。近刊には『オバマの仮面を剥ぐ』(光文社)、『食糧争奪戦争』(学研新書)、『石油の支配者』(文春新書)、『ウォーター・マネー:水資源大国・日本の逆襲』(光文社)、『国力会議:保守の底力が日本を一流にする』(祥伝社)、『北京五輪に群がる赤いハゲタカの罠』(祥伝社)、『団塊世代のアンチエイジング:平均寿命150歳時代の到来』(光文社)など。
 なお、『大恐慌以後の世界』(光文社)、『通貨バトルロワイアル』(集英社)、『未来ビジネスを読む』(光文社)は韓国、中国でもベストセラーとなった。『ウォーター・マネー:石油から水へ世界覇権戦争』(光文社)は台湾、中国でも注目を集めた。
 テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍中。「サンデー・スクランブル」「スーパーJチャンネル」「たけしのTVタックル」(テレビ朝日)、「みのもんたの朝ズバ!」(TBS)「とくダネ!」(フジテレビ)「ミヤネ屋」(日本テレビ)など。また、ニッポン放送「テリー伊藤の乗ってけラジオ」、文化放送「竹村健一の世相」や「ラジオパンチ」にも頻繁に登場。山陰放送では毎週、月曜朝9時15分から「浜田和幸の世界情報探検隊」を放送中。
 その他、国連大学ミレニアム・プロジェクト委員、エネルギー問題研究会・研究委員、日本バイオベンチャー推進協会理事兼監査役、日本戦略研究フォーラム政策提言委員、国際情勢研究会座長等を務める。
 また、未来研究の第一人者として、政府機関、経済団体、地方公共団体等の長期ビジョン作りにコンサルタントとして関与している。

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