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未来トレンド分析シリーズ

世界の食糧危機をネタに大儲けを目論むアメリカのアグリビジネス(6)
未来トレンド分析シリーズ
2011年5月 6日 07:00
参議院議員 浜田和幸

 インド農務省においても、毎月1,000人以上もの農民が自殺を余儀なくされている状況は国家緊急事態であると受け止め、対策に乗り出している。このような悲劇を目の当たりにしたチャールズ皇太子は、その足で日本を訪問した。滞在中、同皇太子は遺伝子組換え作物の危険性について注意を喚起する発言を繰り返し行なったものの、日本のメディアはその発言を一言も報道することはなかった。

 実は、チャールズ皇太子が日本を訪問した時期は、アメリカ政府が毎年日本に対して提出する「年次改革要望書」が届いた時期と重なったのである。アメリカ政府が日本に突きつけた2008年度の要望書を見ると、アメリカ製の遺伝子組換え作物に対する日本市場の閉鎖性が問題視されている。また、日本の消費者が遺伝子組換え食品の安全性に疑問を抱いていることにも触れ、これは科学技術に対する理解が乏しいからであるとし、日本政府による日本の消費者に対する啓もう活動を強化するよう求めていた。この主張は現在もTPPの協議に継続されている。

遺伝子組み換え食品 要は、アメリカ製の遺伝子組換え作物や食品をこれまで以上に買うように圧力をかけてきたのである。まさにその要望書が届いたのと機を同じくするようにチャールズ皇太子の警告が発せられた。アメリカ政府にとっては最悪のタイミングであろう。日本のメディアも本来であれば、アメリカの要望やイギリスのチャールズ皇太子の警告をともに紹介し、どちらが日本の消費者のためになるものか比較検討する材料を提供すべきであった。

 ところが、日本のメディアは結局どちらに関しても正面から取り上げることを避けたのである。これではメディアとしての責任も役割も自ら放棄したに等しい。現在日本では、遺伝子組換え作物を原料とする食品の原材料表示について、消極的な対応しか見られない。EUの表示と比べれば、日本の表示義務は存在していないも同然である。

 具体的にいえば、表示義務の範囲、あるいは遺伝子組換え作物の混入の許容率において日本とヨーロッパでは大きな違いがある。EUではすべての遺伝子組換え原料に表示の義務が課せられている。添加物であっても表示の必要があり、また使用料の多少にかかわらず、遺伝子組換え作物由来の原料表示を義務づける徹底ぶりだ。

 しかし、日本では原材料の上位3品目のみについて表示すればよいことになっている。しかも上位3品目であっても、その重量が全体の5%以下であれば、表示する義務がないとされており、"ザル法"と言っても過言ではない。

(つづく)

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<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸(はまだ かずゆき)
参議院議員。国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選を果たした。


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