NET-IB NEWSネットアイ

ビーニュース

脱原発・新エネルギーの関連記事はこちら
純広告用VT
カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

直撃インタビュー

【トップインタビュー】早稲田大学大学院教授 野口悠紀雄氏(3)~日本の産業に必要なこと
直撃インタビュー
2010年7月 7日 08:00

根拠なき楽観論に振り回されるな 日本に求められる産業構造の転換

  ―そうなると、これまで日本を支えてきた技術力・開発力というのはどのようになっていくのでしょうか。

 野口 技術はもちろん重要ですが、それだけではありません。まず為替レートの変化による価格競争力の変化が非常に大きな要因になるので、その面で先ほど言ったような問題があります。新興国での最終消費財は、技術がものを言う分野ではありません。自動車などでは技術が問題になりますが、ほかの最終消費財では価格が一番重要なのです。

 技術ということだけをとってみても、日本が必ずしも優れているわけではありません。たとえば、中国市場でドイツと日本が競合した場合、これまではドイツに負けている場合が多かったのです。高速鉄道や自動車がそうです。だから、こうした分野で日本が必ずしも強いわけではありません。これまで日本が強いように見えたのは、07年までの異常な円安によって価格競争力が高かったことが一番大きな理由です。この点については誤解が多いと思います。

早稲田大学大学院教授 野口悠紀雄氏 それから将来の技術を考えた場合、日本が技術的な優位性を保てるかどうかは非常に大きな問題です。とくにそれは自動車について言えます。現在の自動車は機械的に非常に複雑な製品なので、日本型の製造方式が優位性を発揮できる分野です。いわゆる「すりあわせ」と言いますが、それはガソリン車とハイブリッド車で顕著です。しかし、電気自動車に移行した場合、自動車の生産は大きく違ったかたちになると考えられます。

 なぜかと言うと、電気自動車というのは部品をくっつけ合わせてつくるような、機械的には単純な製品だからです。製造業では水平分業方式というのがPCなどで増えていますが、自動車産業も水平分業に移行する可能性があります。そうした場合、日本の自動車メーカーでは対応できません。

 こうした理由から、将来の自動車産業で日本の技術的優位性が発揮できるかどうかは大きな疑問です。

 ―それでは日本は、これからどのような産業を伸ばしていけばいいのでしょうか。

 野口 雇用の面から言えば、製造業が海外移転して国内での過剰労働力が残ることを考えると、介護のようなサービス産業に移行することが必要です。もうひとつ重要なのは、付加価値の高いサービス産業です。たとえば金融とかITですね。アメリカやイギリスの産業は、すでにそういう構造にシフトしています。

 ただ、これを実際に日本で実現できるかどうかは非常に大きな疑問があります。この分野は人的な能力が必要なので、今の日本ではそれは難しい。日本に人的な能力がなくても、外国から人を呼んでくればいいのです。イギリスはそれを金融でやりました。「ウィンブルドン現象」がそうです。

 しかし、日本は人材をオープンにすることに対して社会が非常に大きな抵抗を示します。ですから、これも難しい。それが変わらなければダメだということです。

 ―社会的な抵抗があるというのは、いつからでしょうか。

 野口 明治時代にはお雇い外国人がいましたから、日本人が外国嫌いになったのは、おそらく第2次大戦以降のことでしょうね。

(つづく)

【大根田康介】

<プロフィール>
野口 悠紀雄野口 悠紀雄(のぐち ゆきお)
1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを経て、2005年4月より早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。近著に『経済危機のルーツ―モノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか』(東洋経済新報社、 2010年4月)、『世界経済が回復するなか、なぜ日本だけが取り残されるのか』(ダイヤモンド社、 2010年5月)などがある。

*記事へのご意見はこちら

関連記事

powered by weblio


直撃インタビュー一覧
直撃インタビュー
2011年1月 6日 08:00
直撃インタビュー
2011年1月 5日 08:00
直撃インタビュー
2011年1月 4日 08:00
純広告VT
純広告VT

純広告用レクタングル


IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル