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直撃インタビュー

気鋭のジャーナリスト・上杉隆氏が語る2011年の日本(6)
直撃インタビュー
2011年1月 2日 08:00

不自由の鎖につながれた日本 立ち遅れている政治とメディア

<媒体差別は意味がない 相手にするだけ時間の無駄>

 ―個人ブロガーなどの方がよほどジャーナリズム精神をもっているのではないですか。

上杉 隆氏 上杉 それはそうですよ。海外では彼らがジャーナリストですから。日本だけです、媒体によって差別しているのは。思考が停止しています。新聞・テレビがジャーナリストで、ネットはうさんくさい、そんなこと海外では誰も思っていません。どんな媒体であっても、真のジャーナリストがいる一方で、うさんくさい人間もいるわけです。

 「ツイッター」にしても、日本だけが使い方を間違っています。なぜなら、「つぶやき」と訳してしまったから。あれは「つぶやき」というアウトプットメディアではなくて、むしろインプットメディアです。だから、海外のジャーナリストは皆自分のアカウントを持って情報収集の道具として使っているわけです。

 私も職業上は99%インプットに使っています。これでどんどん情報をインプットして、リンク先に飛んで行って下調べして、そこから取材が始まるわけです。いわば「つぶやき」はサービスです。

 ところが、日本のマスメディアはもはや情報力でソーシャルメディアに対抗できなくなりつつあり、もっと言えば脅威を感じています。だから、日本の記者がツイッターの個人アカウントを持つのが禁止されているのでしょう。その上で 時代遅れの幹部らが、アウトプットとしての使い方を強調して、「大したツールではありません」と報じているわけです。
 
 ―しかし、ソーシャルメディア上ではすでにマスメディアの論壇を超えた独自の論壇もあります。

 上杉 そこに気づかないのは、大手マスメディアも悪いのですが、残念ながら国民のリテラシーが低すぎるのです。「2ちゃんねる」というのは「巨大掲示板」と訳されていまだに放送禁止用語だし、「ユーチューブ」が出てきたときも「動画投稿サイト」と訳されて放送禁止用語でした。この前、ようやくNHKが「ユーチューブ」という言葉を使いましたが、そんなくだらないことをやっているのは中国と日本くらいではないでしょうか。

 世界中で日本のメディアは世界一遅れていると評価されていて、中国も日本のメディアをバカにして『人民日報』までもが報じるわけです。日本人はそれを「逆だ」と思っていますが、ジャーナリズムの世界では中国の方がまだマシだとされています。

 こうした批判は10年前から言われているわけで、私も日本の古い記者たちから「おまえみたいなインチキジャーナリストと一緒にされてたまるか」と言われてきましたが、そのときは「いや、こちらこそあんたたち記者クラブと一緒にしないでほしい」と言い返しています(笑)。向こうからすると私はインチキなのでしょうが、海外にいけば私が普通のジャーナリストで、逆に日本の記者だけが「相手にするな」と仲間はずれにされています。つまり、こちらがあえて我慢して日本のマスメディアに付き合ってあげているわけです。

 でも、それももはやどうでもよくなってきましたし、相手にするだけ時間の無駄です。そうしたことが分かっていないマスメディアの言うことを信じている日本の国民は、残念ながら不幸ですよね。これはもう十数年は治らないし、結果として手遅れです。

(つづく)

【大根田 康介】

<プロフィール>
上杉 隆(うえすぎ たかし)
上杉 隆(うえすぎ たかし)1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、フリージャーナリストに。 政治、メディア、ゴルフなどを中心に活躍中。著書に『上杉隆の40字で答えなさい』(大和書房) 『結果を求めない生き方』(アスコム) 『記者クラブ崩壊』(小学館) 『ジャーナリズム崩壊』(幻冬舎) 『官邸崩壊』(新潮社)など多数。 ツイッターアカウント @uesugitakashi

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