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衝突する新旧のメディア 佐々木俊尚氏インタビュー(3)~スモール化で個人力が問われる時代に
直撃インタビュー
2010年12月31日 13:00

<雑誌・新聞は衰退 ネットとテレビが2大勢力>

 ―そうしたことは人に教えてもらうことでもないとは思いますが、じっくり考えたり、学んだり、工夫したりする時間・機会がないのでしょうか。

佐々木俊尚氏 佐々木 でも、それは自分でやらなければならないですよね。昔は広報と言えば、広告代理店など外部にアウトソースしてお任せというのが一般的だったと思いますが、エンゲージメントの世界って結局は個人と個人の関係に集約していくわけですから、アウトソースしにくいですよね。情報を発信している人、製品をつくっている人、サービスを提供している人たちが、きちんと参加せざるを得ません。

 とは言え、まだツイッターもそれほど日本では普及しておらず、人口的には1,000~2,000万人台だと思います。ただ、こうしたソーシャルメディア上で情報が流通する状況は今後も続くでしょうし、それがなくなることはもう100%あり得ません。であれば、そうした情報の圏域をすべてカバーできるような体制をつくっておく必要があるでしょう。

 ―2011年のメディア・出版業界をどのように見通していますか。

 佐々木 まず、雑誌は終わりつつありますね。なぜなら、雑誌はもともとターゲティングメディアと言われていて、読者圏域が絞られているわけです。それってネットメディアとすごく性質が似ているわけで、しかもネットの方が圧倒的に強い。なぜかと言えば、発信コストがゼロに近いし、そのメディアの広告の効果測定が完全にできるからです。雑誌は、お金がかかるし効果測定はできない。というわけで、雑誌はネットに市場を食われて衰退しています。

 大手出版社の業績も軒並み悪化しており、ともに現状はかなり青色吐息で、この傾向は2011年も変わらないでしょう。もちろん、小さな出版社であれば1冊ミリオンセラーを出せば好転するかもしれませんが、大手は無理です。新聞もほぼそれに引きずられつつあります。新聞に関しては、日本は宅配制度があるので、それが続くうちは急激には部数は減らないでしょう。販売店はたくさんありますし、今の50~60代が高齢者になっていく状況のなかでは、惰性で徐々に部数が減っていく。ただ、広告に関しては劇的に減っています。

 とは言え、ネットで「こんな商品があったのか」と知る導線をつくるのは難しく、それにはテレビCMの力は大きいということも再認識されています。リーマン・ショック以降の不況のなかで、いったんは落ち込んだテレビCMが2010年夏から再び持ち直しているようです。だから来年は、テレビは持ち直しつつ、一方で雑誌・新聞は衰退の一途を辿ることになるでしょう。ただ、テレビも二極化していて、ローカル局がものすごい勢いで衰退しつつあります。局ごとに見ても、TBSやテレビ東京はかなり落ち込んでいて、フジテレビや日本テレビは浮上してきています。ここ数年は、テレビとネットがメディアの2大勢力として続くという状況になると思います。

(つづく)

【大根田 康介】

<プロフィール>
佐々木 俊尚(ささき としなお)
佐々木 俊尚(ささき としなお)1961年兵庫県生まれ。早稲田大学政経学部中退。88年毎日新聞社入社。99年アスキーに移籍し、『月刊アスキー』編集部デスク。03年退職し、現在フリージャーナリストとして主にIT・ネット分野を精力的に取材する。総務省「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」委員。「2011年 新聞・テレビ消滅」「Google グーグル」「電子書籍の衝撃」など著書多数。

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