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世界を飲み込む水危機と中国 日本の切り札「水技術」(4)
未来トレンド分析シリーズ
2011年1月31日 07:00

 こうした水資源をめぐる投資ファンドや金融機関の熾烈な争いの前には、環境活動家や人権擁護団体などNGOが「水こそ基本的人権の最も根幹をなすものであり、地球の公共財である」と主張しても簡単にかき消されてしまう。眼の前に広がる富をもたらす水、投機の対象としての水資源に浮かれた投資家たちの前には、まったくといっていいほど無力な存在でしかない。

上下水道の供給サービス 本来、政府や地方自治体といった公共団体が水資源の管理や上下水道の供給サービスを実施すべきであるはずなのだが、今日の「100年に1度」と言われる金融危機のあおりを受け、公共サービスも存在そのものが水に流されてしまう状況になってしまった。投資ファンドの側からすれば、水そのものや水を供給する上で欠かせないインフラ整備に特化したインデックス・ファンドやヘッジファンドは、世界の投機マネーを集める上で最も有望視されている。ユーロ、ポンド、人民元、日本円、オーストラリアやカナダドルなど、アメリカドルの先行きに不安の念を抱くようになった世界の投機マネーは水ビジネスの将来性に引き付けられる一方である。

 先読みを専門とする投資家にとっては、水に勝るインフラはないだろう。21世紀の新しい投資案件として水は石油に代わる存在になりつつある。金融危機で大きな損失を被った投資家の間には、新たな水ビジネスで大やけどの傷を癒したいとの思いも広がっている。そうした投資家にとっては、世界各地で水道事業の民営化が進み、水道料金も値上がりすることになれば、願ってもない状況に他ならない。

 イギリスの例を見ると、水道事業が民営化された結果、水道料金が62.2%も値上がりすることになった。このペースでいけば、今後5年以内に平均的なイギリス家庭の年間水道料金は1,000ポンドを超えることは確実と見られている。また、メリル・リンチが商品化した中国ウォーター・インデックスの利回りは2007年の段階ですでに年率102%を超えるまでになっており、市場関係者から熱い期待を集めている。とは言え、利用者に最終的なしわ寄せが押し付けられるかたちでの民営化は、中国のような発展途上国においては思わぬ社会不安や混乱をもたらすことが懸念される。

 ゴールドマン・サックスの予測では世界の水需要は今後20年ごとに倍々ゲームで膨らんでいくという。水に代わる代替商品は存在していない。水道事業にせよ、水の供給サービスにせよ、ひとたび独占体制ができてしまえば、いくらでも高値に吊り上げることも可能になると言うわけだ。

(つづく)

<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸(はまだ かずゆき)
参議院議員。国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選を果たした。


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