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進化する「iPhone」と戦うメイドインジャパンの奔走(2)~未開拓15億人市場を狙え
特別取材
2011年11月 2日 07:00

 米アップルが世に解き放つ、先進的な機能を搭載した基本ソフト「iOS5」と、時代を先駆けるクラウドコンピューティングサービス「iCloud」。そして、その機能を余すことなく利用できる「iPhone 4S」。前機種「4」の発売から1年4ヵ月もの間、「4S」は世界中で待望され、発売と同時に熱狂的な歓迎をもって市場に受け入れられた。そして、その裏でアップルは、次なるステージに進もうとしている。

 10月5日に「4S」を発表したアップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は、通信キャリアとの契約を条件に、旧世代の「3GS」を無料にすることを明らかにした。既にソフトバンクとKDDIが、16GBモデルに限り、通信費から割賦代金を割り引く形で、端末代を「実質負担0円」にするキャンペーンを行なっているので、我々日本人にはピンと来ない部分があるが、この発表の裏に新CEOの抜け目無いビジョンが見え隠れする。

 そもそも、「iPhone」のような高性能端末を購入することができる経済状態にある人は、世界人口の10%程度と言われている。また、「iPhone」に関して言えば、ソフトウェアのバージョンアップやデータのバックアップにパソコンを必要とするなど、所有する上でのハードルの高さがあった。

 しかし、「4S」とほぼ同時に公開された新しい基本ソフト「iOS5」では、「PC Free」と呼ばれる機能が加わり、起動やソフトウェアの更新にパソコンが必要なくなった。また、「iCloud」では、無料で5GBのストレージを利用することができ、誰でも簡単にバックアップを取ることができる。つまり、パソコン環境が無いユーザーでも、通信キャリアと契約した「iPhone」さえ持っていれば、これまで通りの機能が利用できるようになったのだ。

故スティーブ・ジョブズ氏に.. 米アップル創業者の1人で「現代のレオナルド・ダ・ビンチ」(孫正義・ソフトバンク社長)とまで称された、故・スティーブ・ジョブズ前CEOの抜けたリーダーシップを懸念する声が絶たないが、どうやらその心配は、当面の間しなくて良さそうだ。ティム・クックCEOは、IBMパーソナルコンピュータ事業北米ディレクターとして12年過ごし、コンパックの副社長を半年務めたのち、1998年にアップルコンピュータ(現アップル)に入社。2005年からは、ジョブズ氏の元で経営の実務面を担当し、同社の躍進を支えてきた。

 クックCEOは、旧世代の「3GS」の無料化と「iOS 5」や「iCloud」の新サービスを武器に、これまでスマートフォンに手が出なかった層を新たなターゲットにしている。その市場は15億人規模とされ、iPhoneは今後も快進撃を続けていくに違いない。
かつてウィンドウズパソコンとの争いに敗れ、世界シェア5%未満にまで落ち込み、倒産さえ囁かれた企業が、今年(2011年)8月には、ニューヨーク株式市場の終値で時価総額世界一にまでなったのは、なぜだろうか。また、性能的には、「iPhone」をしのぐスマートフォンを製造する技術がありながら、国内メーカーが主導権を奪われてしまったのは、なぜだろうか。

「iPhone」の進化の過程を考察すると、そのカギが見えてきた。

(つづく)
【清水 秀生】

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