そのため、現在の経済危機を1865年と1945年のどん底からのスタートの年と重ねて、「第三の波」と呼んでいるのは、単に事象だけを捉えた考え方にすぎない。正確に時代の流れを見ているとは言えないため、間違いだとは思う。1985年以降に起きた危機は、どん底まで落ちたところの危機ではなく、大成功を収めた後の流れのなかで起こっている危機なのだ。それは、1905年に日露戦争に勝利して、軍事大国として世界の仲間入りを果たしたと考えていた当時の日本と酷似していると思うからだ。
経済大国を成し遂げたという成功体験から抜けきれず、さらに合理性を求め成長することに関心を高めた。その結果、高齢者に格差が生じた。定年を過ぎて退職を余儀なくされた一般の国民は、生活するのがやっとという暮らしになり、しかもそれさえ危ぶまれている。その一方で、権力と収入をいつまでも手放さないで、改革には総論賛成各論反対で、身の安全ばかりを優先する高齢者が多くなってしまった。民主主義、資本主義の悪い部分が目立つようになっている。高齢化、財政赤字、政治機能の停滞という基本的な問題点が未解決のままなので、景気の低迷はまだまだ続くと予想される。
アメリカの個人消費の低迷は、住宅問題の処理を抱えたままなので、この先も続くだろう。ヨーロッパも金融市場はマヒ状態だ。アジア諸国は、ハイパーインフレを警戒して金融引き締めが行なわれている。だから、日本だけの介入では円高は止まらない。円買いはまだ進んでいくだろう。従って、円高は止まらず、やがて60円台に限りなく近づくと思う。
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