東京電力の"ドン"である勝俣恒久会長の後任人事が、一向に決まらない。政府出資による国有化と経営改革を実行できるトップ人事によって、一気に東電を「電力改革」のサンプルにするという民主党政権の思惑はつまずいている。このままでは、現在の会社形態による9電力体制の維持が図られるとともに、なし崩しで原発再稼働が進むという3・11前の旧秩序が護持されることもあり得る。
<リーダーシップ不在で「会議が踊る」>
脱原発路線を掲げた菅直人前首相が昨年8月退陣した跡を継いだ野田佳彦首相は、懸案の消費税増税を強く打ち出す半面、エネルギー政策の転換や東電経営改革については、枝野幸男経産相らにゆだね、強いリーダーシップを発揮しないできた。結果的に枝野氏、細野豪志原発担当相(環境相)、それに政権の後見人的な立ち位置にいる仙谷由人政調会長代行の3氏に、政策調整を任せた格好だ。
政治の強いリーダーシップが不在となれば、どうしても官僚主導のペースとなりがちである。原発依存度をどの程度にするのかの電力構成比を決める「総合資源エネルギー調査会基本問題委員会」、今回の福島第一原発事故を踏まえて原発のコストを改めて算定しなおす「コスト等検証委員会」、それらをもとに全体のエネルギー政策をどう打ち出していくかを決める「エネルギー環境会議」など、いくつもの会議体が乱立し、昨年秋以降、やたら会議ばかりが開催される「会議が踊る」状態が続いてきたのは、その表れである。そもそも、大きな論点は2つしかないはずなのに。
1つは、電力自由化を思い切って進めて、発電と送電を分離する発送電分離に踏み切るのか――つまり、「9電力会社を分割」する方向に持って行くのかという点である。
もう1つは、原発をゼロにするのか、それとも一定程度の稼働を許すのかという、「脱原発」なのか「減原発」なのかという点だ。ともに、電力業界からの猛反発を受けそうな論争的なテーマなだけに、政権は、会議の進行に成り行きをゆだね、矢面に立つのを嫌がってきた。
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