空間をプロデュースし、そのブランディングをする。(株)シェルフアソシエイツ代表にして九州大学知的財産本部客員教授の坂口敬司氏は、一級建築士および一級建築施工管理技士の資格を持つが、その業務内容は設計や建築に留まらない。これまで得たノウハウを駆使し、マーケティングやプロモーションなど、多角的な視点から価値ある空間を築いている。アジアの交流都市として、今後、国内外からもますます注目が集まる福岡で活躍する。そんな、今、注目の"仕掛け人"に話を聞いた。
――これまでのキャリアのなかで、JR博多駅広告媒体開発やブランド化粧品ショップのプロデュースなど様々なプロジェクトに関わって来られたそうですが、そういった総合プロデュースとなると求められるスキルも多様だと思います。
坂口敬司(以下、坂口) 大学時代から建築の勉強をしていましたが、その頃から「作品を作りたい」という気持ちよりも「世の中に対して何か仕掛けたい」という気持ちが強くありました。もちろん、総合プロデュースやコンサルティングとなると、多面的な知識や経験が求められますが、それは社会人になってからこれまでの過程で少しずつ身に付けてきました。
――大学院を卒業されたあとは住友不動産(株)に入社されました。
坂口 建築を勉強した人間というのは、設計事務所などに入るケースが多いのですが、思うところがあってその道は選びませんでした。というのも、その頃から、人々の「空間」というものに対する捉え方が、多様かつ幅広になりつつあるなと感じていたからです。そういった考え方が結果的には、自分で起業するきっかけにもなったのですが、クライアントから依頼されたものを単に作れば良いとか、単に綺麗な建物を作れば良いとかではなく、そこにどういう価値や情報を付け足すのか、どういうバリューを与えて感動してもらうのか、という意味付けに重きを置いています。それぞれの空間の捉え方を色々な角度から、ソリューションがやれないかという、そんなビジネスですね。学生の頃、不動産デベロッパーに行けば、思い描くような事ができると思っていましたし、その気持ちが今の自分の原動力でもあります。
――住友不動産に入られて、最初はどのようなキャリアからスタートしましたか。
坂口 最初に配属されたのは、技術本部設計部というところでした。いわゆる不動産開発に基づく建築実務の基礎を学びました。主にマンション設計なのですが、その手順やフローなどです。ここでの経験が、後々になって基礎として大変役立ちました。もちろん、先ほど述べたように"仕掛け人"を目指していた私ですから、最初は事業部に行きたいという気持ちが強かったですよ。
――住友不動産で約6年間活躍されて、そのあと(株)電通九州に入社します。
坂口 電通九州では14年ほどお世話になりました。私が入社したころというのは、ちょうど電通が分社化したころです。九州支社が電通九州になって2年目のころに、ある公募がありまして、それがきっかけで入社に至りました。
――いよいよ学生時代からやりたかったことに近づいた感じがしますね。
坂口 そうですね。いわゆるソフトであるとか広告であるとか、最初はプロモーション部に配属されました。入社したのは30歳のころなのですが、30代の10年間は、とにかくなんでもかんでもやらされました。プロモーション関係のイベントはもちろん、販促キャンペーンから空間開発みたいなものまでありました。常設物も仮設物も関係なく。当然、電通が受ける仕事ですから、コマーシャルベースのものが多いです。商業施設や集客施設、展示会なども含まれます。色々と苦労しましたが、ここでの経験も大きな財産になりましたし、当時は極力、営業に近い目線でプロモーション業務することを心がけていました。
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<COMPANY INFORMATION>
■(株)シェルフアソシエイツ
代 表:坂口敬司
所在地:福岡市中央区赤坂1-14-22 センチュリー赤坂門ビル4F
設 立:2010年5月
資本金:950万円
TEL:092-714-7001
FAX:092-714-7002
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