<8月から実証試験>
日本で生産されたキルコートの効果は、北海道での事例では、高い保温効果により冬に暖房代、ガス代など50%程度の低減を実現した。夏は冷房費など30%程度の低減が可能で、耐熱性能や伸縮性に関しても他社の同様の製品よりも優れたデータが出ている。その省エネ効果だけでなく、優れた伸縮性も認められて、TOTOのエクステリアの壁材や、新日鉄住金の断熱鋼材にも使用されている。
中国では「「THERM BLOCK」(サーモブロック)の商標で売り出す。国家スタンダードのブランド品として確立させていく。小黒海外事業部長は「中国では、エネルギー戦略は必ずやらなければならないことの1つ。車を作れない時代から、電気自動車を作ろうと言っていたぐらい。我々は、このキルコートをただの省エネのできる"おもしろい技術"に終わらせずに、中国に持っていって、現地の国策に協力できるようにしたい」と意気込む。
<人脈を活用してブランドに>
海外でブランドとして名を馳せ、その商品のよさを定着させるのは容易ではない。時間もかかる。課題は、日本製造の製品と同等のレベルの製品を中国で作れるかどうか。現地で長く売るため、いいものを安く作り、継続的に価格競争力を持つことも条件だ。さらには、現地の企業とのコンビネーションも重要な要素だろう。
「中国では、『いいものだ』とわかった時には、それを取り込むスピードは非常に速い。国の動きが速いが、われわれも仕掛けていく。日本では新日鉄住金と断熱鋼材で組んだが、中国でも鉄鋼など素材産業のどこかと組むことになるのではないか」と、長年、中国でのビジネスに携わってきた小黒海外事業部長。これまで培ってきたビジネスの下地をフル活用して、省エネ塗料をブランドとして確立させていく。これまで、ともにビジネスを行ってきた中国人のビジネスパートナーたちは、すでに長年の友人ともなっている。「人脈は、これまで培ってきたものがある。ただ、その人脈を有効に活用できる商材がなかったというのが、これまで。今のペースは間違っていないと思う。キルコートで、日本オリジンの国家スタンダードを目指したい」と、自信を見せた。
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