消費増税関連法案をめぐり、分裂した政権与党・民主党。小沢一郎氏をはじめとする離党組は新党・国民の生活が第一を結党。一方、鳩山由紀夫元首相をはじめ、消費増税に反対するものの党に残り、処分を受けた議員も少なからずいる。NET-IBは14日、鳩山氏とともに政治行動をしてきた川内博史代議士(鹿児島県第1区)を独占インタビュー。現状と今後について内情を探った。
――民主党は今、かつての仲間であった者たちが分裂するという混乱に陥っています。
川内博史代議士(以下、川内) そもそも消費増税は、マニフェストで言っていません。さらに野田総理は、代表選挙における、両院議員総会の代表選挙演説ならびに決選投票演説で消費税について言及していません。その後、両院議員総会で配られた「私の政権構想」なる文書のなかにも消費増税は一言も書いていません。総理大臣になったとたんに言い出したわけです。
――誰がそう仕向けたのですか。
川内 財務省ですね。というより、完全に霞が関に操られています。原発の再稼働問題で言えば、経済産業省の資源エネルギー庁、消費増税で言えば財務省、オスプレイの配備で言えば外務省と防衛省。完全に官僚の言うとおりです。
――どんな風に頭が侵されているのでしょうか。
川内 侵されているというより、もともと何も考えていらっしゃらない。だから、素直に言うことを聞いてしまうのではないかと。
――要するに、政治家として国のために何をしていくかが「ない」ということですか。
川内 そう思いますね。総理大臣になりたかったのだと思います。
――演説は上手いではないですか。
川内 さすがに駅前でずっと演説をしていらっしゃっただけに、本当に上手です。ただ、「巧言令鮮なし仁」という言葉があるように、最近の演説からは心が伝わってきません。
――しかし、そんな心ないことを言って空しくはないものですかね。
川内 首相官邸であれだけたくさんの原発再稼働反対を訴える人々の声を「音」だと、物理現象のひとつだという風に切り捨てるぐらいに、権力に今、憑りつかれているのではないかと思っています。
――新しい国民の動きととらえられないのが情けないですね。首相官邸前に集まっているのは、従来の「動員」ではなく、インターネットによる呼びかけによるものです。次の選挙でもネットの影響力は強いのではないかと思います。
川内 一人ひとりの有権者の方々が、政治にどう関与するかをものすごく真剣に考えていらっしゃる。「声を出さなきゃいけない」「何か動かないといけない」と、真剣に考えていらっしゃるという風に思います。
――政治手法はどうであれ、竹原信一氏が市長であった頃、鹿児島県阿久根市の高齢者は、生活の体験から今の政治ではいけないと認識していました。この危機感にネットがかみ合ってくると、次の選挙では民主党にとっては厳しい結果が予想されます。
川内 そもそもウソをつく人間を人は信用してくれません。「消費税はあげません。シロアリ退治をしてから」と言っていた人たちが「状況が変わった。上げて当然なんです」と、しかもそれに「ちょっと待て、約束を守ろう」と言った人たちを切り捨てて、やっていこうとする強引な政治手法も含めて、私は一番厳しい審判を今のままでは受けると思います。
――川内代議士の今後の行動としてはどうされていくのですか。
川内 私は、鳩山由紀夫さんと政治行動をずっとともにしてきましたし、今回(衆議院の消費増税関連法案の票決)も反対票を投じました。そして、処分を受けています。今後、民主党をどう立て直すことができるのか、野田内閣について、どのように政策変更を迫っていくか、追求していくかが、今、私たちが考えていることです。しかし、小沢一郎さんたちともずっと一緒にやってきているわけですし、連携し、連絡を取り合いながら、政治に取り組むのも当然のことです。党の内と外から、政策変更を迫っていきます。
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