アジアの主要都市から近く、また国内から見ても、九州の玄関口である福岡には、さまざまなホテルが軒を連ねている。アジアの交流都市として変化していく福岡において、韓国ではすでに高級ホテルとして名高いI.Pホテルの"今"を総支配人の権容海氏に聞いた。
権容海総支配人がI.Pホテル福岡に着任したのは、2011年の3月15日。東日本大震災の発生直後という混乱のなかでの船出となった。「着任して最初に取組んだのは、コストカットと効率化です」と権氏。「従業員の意識改革に取組みましたが、最初は理解してもらえずとても苦労しました。効率化という意味では、使っていないフロアの電気を消すなど節電にも取り組んだのですが、こうした行動が業務を効率化するという意識に繋がるものだと思います。また、次に接客などのサービス向上に努めました。ホテルは、サービスが重要です。利用料が安ければそれで良いということはありません。お客さまがホテルマンに求める接客を体現できるクォリティを維持したいと考えています」。
「春先に東京に取材に行きましたが、大久保の韓国街は若者でごった返していて、かつての原宿のようでした。若者が抱く韓国のイメージや、アジアからの交流人口が増加するなかで、韓国資本であることは強みになるのでは」との質問に、権総支配人はニコリとしてこう答えた。「そう言っていただけるのは嬉しいですし、私どもも韓国というルーツをアピールするために、この夏はビアホールと韓国料理の食べ飲み放題を筑紫料理長と打ち出しました。3,000円(前売り)というリーズナブルさもあってか、おかげさまで大好評をいただいております。ただ、ホテル全体としては、浮き足立たずに、基本サービスに重点を置きたいと考えています。資本がどこであるとか、規模の大小であるとか関係なく、大切なのはお客さまをもてなす姿勢です。それが揺らぐことはありません」と語る。
飲酒運転が社会問題になっている背景を受け、ノンアルコールのカクテルバーを設けるなど、斬新な取り組みをしつつも、基本を最重要視している。最後に今後について聞いた。
「効率化やサービス向上などに取り組み、ソフトの面ではひとまず目標に達しました。そして、客室のリニューアルが済んだことでハード面もようやく追いつき、"さあ、これから"という気持ちです。I.Pホテルは、本社の申会長がカーペットの色からインテリア、小さな絵画に至るまですべてをプロデュースしています。また、客室に備え付けられている読書灯も会長自らが設計したものです。そういった細部のこだわりを感じていただければと思います」。
古きよきホテルのプライドを重んじつつも、アジアの中心で新鮮さを取り入れる先進性を持つI.Pホテル。群雄割拠の業界のなかで、このホテルがひときわ輝くだけの要素は、数多くある。
<INFORMATION>
■I.P ホテル福岡
所在地:〒810-0801福岡市博多区中洲5-2-18
TEL:092-262-2009
FAX:092-262-1909
宿泊は9,240円~ 予約専用ダイヤル 0120-777-868(通話無料)
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