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「ソーシャル・ビジネス」は日本を変えることができるのか(序)
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2012年7月26日 10:00

 ソーシャル・ネットワークならわかるけど、ソーシャル・ビジネスとは何だろう――そのような疑問の声を聞いたことがある。その一方で「未来の経済は、ソーシャル・ビジネスの考え方抜きでは語れない」という声も耳にするようになった。2006年にノーベル平和賞を受賞したユヌス博士がソーシャル・ビジネスの提唱者であったことは記憶に新しい。そのユヌス博士を福岡に招いて7月21日と22日、九州大学 箱崎キャンパス50周年記念講堂にて「ソーシャル・ビジネス・フォーラム・アジア in福岡2012」が行なわれた。この2日間のフォーラムの内容を紹介しながら、「ソーシャル・ビジネスとは何か」について考えてみたい。

<ソーシャル・ビジネスの定義>
0725_yunusu.jpg ソーシャル・ビジネスは、ビジネスの手法を用いて社会問題を解決することを目的としている。一言でいうと、他者の利益に専念するビジネスだ。つまり、ビジネスの動機は利潤追求にはない。とはいっても、企業が骨身を削って社会に貢献する、という意味でもない。利益は、「"自社への再投資、社員の福利厚生を含めた"さらなる社会課題解決」のために再投資する。また、持続可能でなければ、ソーシャル・ビジネスとは言えない。

 ユヌス博士は、「ソーシャル・ビジネスにはふたつの種類がある」という。

【タイプⅠのソーシャル・ビジネス】
 社会問題の解決に専念する「損失なし、配当なし」の会社。企業を所有する投資家は、得た利益をすべてビジネス(もちろん、ソーシャル・ビジネスである)の拡大や改善に再投資する。

【タイプⅡのソーシャル・ビジネス】
 貧しい人々が所有する営利会社

 タイプⅡが「営利会社」なのにソーシャル・ビジネスと認められるのは、貧困層の経済的自立は社会問題の解決そのものであるからだ。ソーシャル・ビジネスの原点、グラミン銀行は、このタイプⅡにあたる。

 ここで、タイプⅠの性質をうまく表しているといわれる「ソーシャル・ビジネスの7原則」について記してみる。

<ソーシャル・ビジネスの7原則>
1.経営目的は、利益の最大化ではなく、人々や社会を脅かす貧困、教育、健康、技術、環境といった問題を解決することである。
2.財務的、経済的な持続可能性を実現する。
3.投資家は投資額のみを回収できる。投資の元本を超える配当は行なわれない。
4.投資の元本の回収以降に生じた利益は、自社の拡大や改善のために使われる。
5.環境に配慮する。
6.従業員に市場賃金と標準以上の労働条件を提供する。
7.楽しむ!


 項目7を見て「なんと能天気な」と眉を潜めるだろうか。しかしこの項目7こそが、ソーシャル・ビジネスに従事した人々が得る、最大の恩恵のように思える。

<福岡市はアジア初のソーシャル・ビジネス・シティ>
 実は、福岡市は、アジアで最初の「ソーシャル・ビジネス・シティ」である。2011年7月23日、ソーシャル・ビジネス・フォーラム・アジアin福岡2011において、同フォーラムの主催、ユヌス&椎木ソーシャル・ビジネス研究センターのセンター長であり九州大学副学長の安浦寛人氏と高島宗一郎市長がソーシャル・ビジネス・シティ共同宣言を締結したのだ。同センターのエグゼクティブ・ディレクターであり、九大国際法務室教授の岡田昌治氏は、"もっともユヌス博士に近い日本人"と称されている。

0725_watanabe_1.jpg0725_satake_1.jpg

 フォーラム開催に先駆けて、岡田教授は、ユヌス博士、渡邊美樹氏(ワタミ(株)会長)、佐竹右行氏(グラミン・雪国まいたけ 共同経営者)と共に、記者会見の席に座り、フォーラムのプログラムについて説明した。
 フォーラムでは、ユヌス博士の基調講演やソーシャル・ビジネスに携わる企業代表者によるパネルディスカッションのほか、これからソーシャル・ビジネスに携わろうという国内外の団体代表者によるプレゼンテーションやグループワーク、そして学生によるソーシャル・ビジネス・デザインコンテストが行なわれるという。このプレゼンやコンテストで認められると、海外で発表する機会を与えられるそうだ。

 その他にも、女性経営者によるシンポジウムや、アート・創造性を活用したソーシャル・ビジネスについてのパネルディスカッションもあり、充実した2日間の幕が開いた。

0725_kisyakaiken.jpg

(つづく)
【黒岩 理恵子】

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