<開業2カ月の今も長い行列>
開業して2カ月が過ぎた東京スカイツリー。予約なしで展望台に上れるようになったのは7月10日からだが、いまも、一般入場には途切れることのない行列ができている。
開業2カ月で展望台に上った人は、約83万人。8月中にも100万人を突破すると見られている。
7月某日、世界一の電波塔に上ってみた。1時間半ほど並んで入場。平日だったが、夏休み期間中だけあって、家族連れが多かった。外国人観光客の姿もちらほら見える。
東芝のエレベーターで、いざ350メートル地点にある天望デッキへ。台湾の高層ビル、台北101のエレベーターにも採用されている。あっという間に上っていく。日本の誇る技術だ。
タワーを、時代感覚的、技術的に(?)、新幹線にたとえてみると、東京タワーが新幹線のこだま。スカイツリーは、N700系のぞみだろうか。
<日本再興のシンボルとなれるか>
さらにエレベーターで、天望回廊へと上る。浅草方面に墨田川が目に入る。高いところは元来好きなので、海外旅行に行った時などは必ずタワーや高いビルに上っている。
パリは、エッフェル塔。セーヌ川が見えていた。ロンドンアイ(観覧車)から見たロンドンはテムズ川の賜物。台北101の台北は淡水河、上海の東方明珠タワーからは、黄浦江が目の前に広がっていた。川が、都市を形作っているのがわかる。
東京スカイツリー、東京を、地上450メートルから俯瞰すると、都市としての発展に、隅田川、荒川、(スカイツリーからは見えないが神田川、多摩川、江戸川...)の「川=水運」が大きく関わってきたということがわかる。
川の流れ込む河口付近には港があり、港を拠点として、陸上の交通、鉄道、道路などが発達することで都市の規模が拡大し、発展が持続する。江戸の後背地に、広大な関東平野が広がっていたことで、東京は世界一級の大都市となりえた。
東京タワー方面の港区・六本木、赤坂、新宿副都心のスカイラインまでが、この日は、うっすらとかすんでいた。ここ数年で高層マンション開発の進んだ豊洲、お台場方面も見渡せる。その奥に東京湾が見えている。
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東京タワーが開業したのは1958年。東京オリンピック、高度経済成長を経験し、タワーは、日本躍進のシンボルとなった。
バブル崩壊、世界的経済不況に加え、東日本大震災を経験した21世紀の日本。都市としては、飽和状態になりつつある東京に立った世界一の電波塔は、日本再興のシンボルとなれるのか。天望回廊のスロープを歩きつつ、地上451.2メートルでそんなことを考えた。
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