<観光資源としては絶好調>
東京スカイツリーは、内外から観光客を呼び込む観光資源としては、好調に滑り出している。
運営主体の東武鉄道の発表によると、7月22日で開業2カ月を迎え、東京スカイツリーを含めたスカイツリータウンの来場客数は、約1,029万人を超えた。東武鉄道では、周辺商業施設を含めた集客力は年間3,200万人を予想していたが、開業2カ月で、早くもその3分の1近くに到達した。ツリーの展望台に上った観光客も1日、開業72日目で早くも100万人を突破した。
足元にある商業施設「東京ソラマチ」には、カフェ、レストランに加え、サマンサタバサ、ZARAなど若者向けのおしゃれなファッション店舗、水族館も入っており、ツリーが目当ての観光客だけでなく墨田区周辺の住民の集客にも貢献する。
<客足伸びない地元商店街>
ツリーから路地を一つ、二つ入ると、墨田区の昔ながらの下町が広がっている。路地では、子どもがキャッチボールをしていたり、近所のおばちゃんたちが立ち話をしていたり。
小さなスポーツ用品店や小料理屋、八百屋などが並ぶ。押上駅周辺の商店街は、浅草とは逆方向にあり、こちらの方に観光客はあまり流れてこない。
昭和の匂いを残す駄菓子屋を営む女性は「ツリーができる前から分かってはいたことだけど、客は減った。人の流れもこっちまでは来ないね。バス通りはにぎわっているけど...」と嘆く。商店街の近くにある大衆食堂では、地元の客でいつもの下町の活気はあるが、観光客らしき人の姿はない。その食堂の経営者も「かえって減ったんじゃないかな。こっちには、客が回ってこないなあ。盛り上がっているのは、あっち(ソラマチ)だけ」と、新規の客は増えていない。スカイツリータウン、東京ソラマチは、確かににぎわっている。観光客の足並みは、しかし、観光、食事、買い物と、スカイツリータウンで完結してしまうため、下町までには、伸びてこない。おひざ元であっても、地元商店街からすると、スカイツリー万歳とはいかないようだ。
墨田区は、周遊バスを出すなど、観光客が周辺を巡回できるよう取り組んでいるが、スカイツリーを見終えた観光客は、まっすぐ浅草、上野方面に向かってしまう。墨田区にとってプラスになることには違いないだろうが、地元商店街を潤すまでには至っていないようだ。
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