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こう見る・福岡空港「かさ上案」 航空技術進捗をにらみ議論を(前)
福岡県政ニュース
2008年7月31日 18:43

 国土交通省が6月末に発表した現福岡空港の増設新案がより現実味を帯びてきた。これに対して「新設」派の、劣勢を挽回する動きが活発化し始めている。
 福岡県議会の最大会派―自民党県議団の会長であり、県議会最大のキーマンでもある藏内勇夫氏に、福岡県政の重要な課題である福岡空港をどうするのか、インタビューを行なった。

 藏内 勇夫県議会議員(選挙区・筑後市/当選6回)
  自由民主党福岡県議団会長
  所属委員会―警察委員会・国際交流推進対策調査特別委員会

《かさ上げ案発表の狙い》
―先日国土交通省の専門委員会が福岡空港の増設改良案(注1)を出しましたが、これについてのご感想をお聞かせください。
藏内
これはステップ3(注2)の後に福岡県が問題点を指摘してきましたが、それを補完するような案ではないでしょうか。県のいくつかの言い分を消していったものが「かさ上げ」案(注1)だと思います。コストの問題や発着回数などを考慮したのが改良案ではないでしょうか。

―あの案の狙いはどこにあるでしょうか。
藏内
 国はもともと議論を誘導していたわけですが、これだけ財政が窮迫していますから現空港の再整備案に傾いてきたのだ思います。改良案公表は一層整備案に誘導しているということでしょうね。

―あの案が出る前に知事とのやり取りがあると考えられますか、国の一方的な判断なのでしょうか。
藏内
 知事と国土交通省が直接やりとりすることはないにしても、事前に県には話があっていたと思いますね。ステップ3で各案が出る前に、「こういう案が出るみたいですよ」という話は聞いたことがあります。今度の「かさ上げ案」は、ステップ3で発表された再整備案対して福岡県が問題点として出した意見を修正・改良し埋め込んだものでしょう。同案も知事へ事前の情報として流れてきていたのではないでしょうか。

《空港新設は理想論》
―経済界は「新設」で動いていますが、今度の案は経済界にとってはショックではないでしょうか。
藏内
 今里滋氏(元九州大学教授・編集部注)が出馬した前々回の知事選で麻生知事は空港問題を争点にしませんでしたが、その時点までは知事は海上空港を造るという気持ちであったと思います。当時わたしは、県議会の議長をしていましたが、わたしも争点にしないことを進言いたしました。今回、現空港の再整備案が出てきて、経済界の間で、「安全性の問題や福岡市の都市計画、将来性からいえば海上空港が必要だ」という声が出てきています。経済界の声は、わたしも理解できます。わたし自身も理想的には、安心して24時間使用できる海上空港が必要だと思います。何といっても、安全性の問題が一番重要です。あれだけ過密した中で離発着させることは安全対策上どうなのか、ということです。一度でも大事故を起こしたら現空港維持の声は吹っ飛んでしまいます。そのような点を総合して経済界が理想論をおっしゃっていると思います。ところが「現空港を閉鎖」して、新空港をどこにするのかという話になったときに、事業費がいくら掛かり、国や県が税金をいくら使うのか、そして経済界がどれだけ協力できるのかという時に、経済界は話がまとまるのかです。

《経済界は負担に耐え得るか》
―中部空港の建設は大企業が推進力を担いましたが。
藏内
 わたしは太宰府の国立博物館づくりに奔走しましたが、その費用はおよそ200億円かかりました。県議になる前から取り組んできて、30年以上かかりました。このときですら中心となった九州電力は費用を集めるのに大変苦労されていました。国立博物館と違い空港は企業の利益に直接かかわりますからもう少しは拠出されるでしょうが、経済の状況は厳しくなってきています。海上空港には1兆円以上の事業費が掛かると思いますよ。事業費の負担額が具体的になったときに知事選も含め県民の理解を得ることができるのか、また経済界も事業費を集められるのでしょうか。

―経済界が今、声高に「新設」を発言している狙いは、もっと国が金を出すべきだということでしょうか。
藏内
 空港などは「公」、特に新福岡空港の整備は国がやるべきだと思います。しかし今の時代は、「公」だけで造れる時代ではありません。むしろ民間の負担が求められている時代になりました。

《空港新設・増設どっち》
―新設か増設かの議論の落ち着き先は?
藏内
 「現空港増設」「新設」「北九州空港整備案」あるいは「佐賀空港との連携」など、地域や立場によって様々な意見があります。あえて議会の意見をまとめるには至っておりません。

―自民党の県議の中にも様々な意見がありますが、逆にそのことで論点も定まっていないようにも感じますが。
藏内
 「新空港」論というのは、事業費と場所とを比較検討するという、割りと単純な話でもあります。玄海沖にするのか新宮沖にするのか、位置の問題です。
 現空港を整備する場合には、A案、B案、C案があり今度D案が出されましたが、このD案でどれだけ発着回数が増えるのか、が明確ではありませんね。年間で14、5万回が限界であると言われていますが、D案でどれだけ増便ができるのか、という数字がないので論議のしようがありません。D案がこの時期に出たということは、次にE案が出てくるような気がします(笑)。A、B、C案が出されてからしばらく経って、これらの案では発着回数が意外と増えない、という話を聞いたことがあります。これでは話にならないということでD案になったと思います。

(注1)増設改良案「かさ上げ」案
 先に出されていた現空港の滑走路増設案を改良した案が6月30日に国交省専門委員会から出されたものを指す。現滑走路の西側210メートルに新滑走路を造る前案は乱気流による管制上の問題が生じるため、それを防ぐために滑走路を2、6メートルかさ上げすることで問題を解決するとされている。また同時に、かさ上げすることで都市高速道路が進入経路の高さ制限にかからない、とされている。

(注2)ステップ3
  国、福岡県、福岡市で構成する福岡空港調査連絡調整会議が、「福岡空港の総合的な調査」を進めるために市民に情報を広く提供していくことが重要であるとし、「パブリック・インボルブメント(PI)」を導入し、現在ステップ4に入りつつある。ステップ3では、「将来需要への対応方策の検討」「将来対応方策の評価の視点の検討」を平成19年度に実施した。その中で、「新空港の建設」と「現空港の増設」というの2つの国の方針を市民に周知し、意見等を聞いた。

つづく

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