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福岡県政ニュース

【連載】オンダの「日本愛すればこそ」レポート(2)
福岡県政ニュース
2008年9月30日 09:30

頓挫した築城基地拡張計画―防衛省のチグハグ対応の裏に何が?(下)

 拡張計画はそんなモヤモヤの直後に提示されたもの。計画は基地の東南側、築上町西八田地区の田畑約4ヘクタールを買収。2,400mの滑走路の南側に平行する1,500mの誘導路を東(海側)に300m延長、さらに現在7基ある燃料タンクを9基に増やすというもの。
 寝耳に水の話に3市町が戸惑うなか、素早く米軍再編との絡みを嗅ぎ取ったのが共産党だ。同党は年明けの1月半ば、赤嶺政賢衆院議員を団長に県地方議員団で基地を視察した。
「拡張計画と米軍再編は無関係というのが防衛局・空自側の説明です。しかし、基地内を見てまわると日米一体化、基地機能の強化は一目瞭然。たとえば老朽化した外来者用宿舎の改築現場を見たら、従来の90人収容が130人に増えているうえ、何と各部屋のドアに星条旗のシールが貼られ、トイレの案内も英語でした。」(徳永克子行橋市議)
「誘導路が1,800mに延長されたら滑走路が2本になるようなもの。燃料タンクが増えるのはそれだけ離発着が増えるということですし、さらに現場で気付いたのは弾薬庫も増設されていたことです。」(熊谷みえ子みやこ町議)

 これでは同党が拡張計画も米軍再編絡みと受け取るのは止むを得まい。それが目的とあれば、防衛省は正面から地元の理解を得るべく時間をかけ、説得に努めてしかるべきだ。それが「米軍再編と無関係」というなら何のためか。
「防衛局はもともと誘導路としての基準を満たしていないので延長を考えていた、と説明しているようです。それが築上側を拡張して実現するなら、なおさら以前から町に打診があってしかるべきです。交付金を示した直後に申し入れるというのは、何か姑息な感じがしますね。」(築上町民)
 その交付金だが、それぞれ不平不満はあっても財政難の自治体はとりあえず助かる。ところが自由に使えると思った交付金が、基地関連にしか使えないというシバリがあると知らされ、3市町はダブルショックだ。これでは地元を挙げて「拡張は論外」となるのも当然だろう。

 そんな地元の空気を読めない防衛当局のチグハグさは、どういうことか。冒頭の地元住民ならずとも腑におちない。
 謎解きのカギは永田町関係者がいう「より積極的なのは地権者」という指摘だ。
「たしかに予定地の地権者は全員とも売る意思があります。しかし、地元自治会をはじめ町全体が反対していますし、そこは3市町一致しているので防衛省からの働きかけはその後何もありません。」(筑上町基地対策係)
 地権者は15人。しかし、予定地約4ヘクタールの田畑は数年前に基盤整備されたところ。細々した田畑が耕作しやすいように大きく整備された結果、従来は何十人もいた地権者のかなりが所有地を手離している。その理由は
「基盤整備に当たっては、基地隣接地として将来の買収可能性を国に確認したところ、『その予定なし』ということでした」(築上町基地対策係)という話を真に受けてのことだ。
 売れるとなれば所有地の大小はともかく、手離した地権者のなかに「いまさら何だ。売れるのなら手離さなかった」という感情が生まれても不思議はない。そんな旧地権者の反発に輪をかけているのが、現在の地権者のまとめ役を担っているH氏がきわめて政治色が強い人物だからだ。

 H氏は予定地内の最大地権者であるとともに、地元選出の山本幸三代議士(自民党・古賀派)の有力後援者。行橋市出身の山本代議士は東大卒の旧大蔵省キャリアである。唐突な基地拡張計画に加えて、地元の了解を得ることなく防衛省が概算要求に調査費を盛り込んでいたら、山本代議士の政治力を感じても仕方あるまい。
 現在、「体調不良」(家族)のためH氏の見解は聞けなかったが、「買収費3億円」説、それを巡る高い、安い論議など、拡張計画が地元にさまざまな波紋を呼び起こしたのは事実。「李下で冠を正さず」という諺を思い出させるこの計画、防衛省は今後どう臨むのか。
「当初計画通り、今後も地元の理解を得られるように努めます」(本省報道室)とはいうものの、何のための計画か。動機、目的とも説得力はいま一つ。理解を得るのは難しそうだ。

(了)

[プロフィール]
恩田勝亘(おんだ・かつのぶ)
 1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない ― 舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』(七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。

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