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佐賀銀行は経営できない

佐賀銀行は経営できない(17)~他行の再生スキーム事例
佐賀銀行は経営できない
2009年3月19日 10:46

メインバンクの支援スタンスが事業再生の鍵を握る佐賀銀行の再建策との違いは?

 前回まで佐賀銀行がメインバンクとして関わってきた福岡地区の企業の現状を基に、佐賀銀行の経営姿勢や体質を検証してきた。佐賀銀行銘柄と呼ばれながら破綻していったゼネコン、またデベロッパーである旧・アーサーホームや旧・東峰住宅産業の末路はすでに述べた通りである。では他の銀行も同じようなものだろうか。ここでは他行の再生スキームを事例に銀行の在り方について考えてみる。

様々な再生スキームがあるが

 地元金融機関のトップに君臨する福岡銀行の評判は必ずしも芳しいものではない。「掌を返された」「裏切られた」といった声が聞かれるのも事実だ。だが一方で、地場有力企業に対しての事業再生で、メインバンクとしての責任を果たしたと評価できる事例が多いのも事実である。ここでは福岡銀行の企業再生の事例を見てみる。

 一般的な企業再生の手法としては、(1)既往借入金について返済のスケジュールを見直すリスケジュール、(2)債務を株式に交換するデット・エクイティ・スワップ(DES)、(3)債権者が債務者に対して有する債権の一部を放棄する債権放棄、(4)営業譲渡・会社分割・M&A、(5)地域中小企業再生ファンドの活用などの手法がある。こうした再生スキームの成否の鍵を握るのがメインバンクの支援スタンスだ。

事例1.(株)うちだ屋
代 表:内田 勝行
所在地:福岡市東区八田1-5-38
設 立:1986年11月
資本金:5,000万円
年 商:(07/9)32億6,074万円
業 種:飲食店経営

 同社は現代表の内田勝行氏が1977年にうどん店を個人創業し、86年11月に法人化したのが始まり。九州全域に急速なチェーン展開を図り「うどん・レストランのうちだ屋」として高い知名度を誇るようになった。豊富なメニュー構成が話題を呼んだこともあって順調に店舗数を伸ばし、97年には100店舗を突破。翌98年には120店舗にまで業容を拡大した。店舗数の増加とともに売上高も上伸し、98年には売上高で60億円を超える過去最高の業績を残し、外食産業の中堅企業としての地位を確立した。その後も、うどん定食店「うちだ屋」のほかに「麺勝」や「めし勝」、ラーメン事業の「金星」などの展開も図ってきた。

 だが店舗数を増やし売上規模を拡大する一方で、問題となったのが不動産価格の下落である。同社は不動産取得をしながら店舗展開を図ってきたため、バブル崩壊後の不動産価格下落の影響から、不良資産を内包する状態に陥った。同時に競合店の進出や消費の冷え込み、デフレ基調による収益の低下で外食市場自体が縮小傾向となったことが同社の業績悪化に拍車を掛けることになった。このため、リストラや不採算店舗の閉鎖に着手せざるを得なくなったのだが、ここで足かせとなったのが膨らんだ借入金である。

DDS実施で借入金軽減

 負の遺産ともいうべき不良資産の処理に取り組み始めた同社にとって、最大の課題が借入金の圧縮であった。このため、財務体質の改善を図るために福岡銀行からDDS(デット・デット・スワップ)の金融支援を受けることになった。DDSは借入金を劣後ローンに転換するもので、負債(デット)同士の交換のためこのように言われる。劣後ローンも負債には変わりないのだが、返済の優先順位が低いため、一般的には自己資本と考えられる。同社はこれにより借入金10億円を劣後ローンに転換した。(2)のDES(債務の株式化)のように完全に負債が軽減化されるものではないが、劣後ローンとすることで財務体質の改善にはなる。

 同社は03年から05年にかけて大幅な赤字を計上したが、06年以降は黒字転換を果たしている。現在でも借入金は過大な状況であり、財務体質は健全とは言い難いのだが、黒字転換を果たし一定の利益が確保できるようになったのは、メインバンクのDDS実施が奏功した面があることは否定できない。現在では、従来の飲食チェーン展開に加えて、通販事業とギフト商品の販売により巻き返しを図っている。さらなる財務体質の改善が必要な状況に変わりはないが、徐々に前向きな事業戦略が打てるようになったのは、メインバンクの再建策が一定の成果を残した証左であるとも言えるだろう。
(緒方 克美)

<解説>
デット・デット・スワップ
(Debt Debt Swap、以下「DDS」)とは

 中小企業の過剰債務の状態を解消して財務再構築を図り、債務者の再建可能性を高めるために、債権者(主に金融機関)が、合理的かつ実現可能性の高い再建計画と一体で、債務者に対して有する既存の債権を劣後化することで、実質的に債務者の財務状態を改善して、信用力や再建可能性を高めるものです。

 当該債務については通常ローンから劣後ローンに転換されるため、一定期間は元本返済が猶予され、債務者の資金繰りが改善されるというメリットを有します。一方、債権者である金融機関にとっても、 DDSによる財務再構築を通じた企業再生により貸出債権が健全化されるというメリットがあり、ひいては金融機能の強化、地域経済の活性化にもつながるものとして有効であると考えられています。

 加えてDDSは、債権放棄やDESと異なり、債権を別の条件の債権に転換するだけの手法であり、最終的には債務者が返済義務を負う点で変わりはありません。

 したがって、金融機関にとっては、他の手法と比べれば実行しやすく、また、コベナンツ(注1)を付すことで債務者のモラルハザードを回避することも可能となります。

注1:コベナンツとは、特定の財務指標を一定数値以上に維持することをあらかじめ約定し、この約定に違反した場合には期限の利益を喪失させたり、融資条件の見直しを行なったりする特約条項のことです。

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