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未来トレンド分析シリーズ

世界を飲み込む水危機と中国 日本の切り札「水技術」(2)
未来トレンド分析シリーズ
2011年1月29日 07:00

 一方、地球規模での水不足という近未来の最悪のシナリオが明らかになるにつれ、一部の投資家や大手金融機関の間ではこの危機的状況を千載一遇のビジネスチャンスに転換しようとする試みも見られるようになってきた。水利権を買収し、各地で湖や河川など私有地に眠る水源を買いあさる動きが広まりつつある。環境問題に目ざとい個人投資家や企業は、こぞって水関連のヘッジファンドやインデックス・ファンド、商品取引ファンドなどに関心を寄せ始めている。

水イメージ 水関連の技術を有する企業や多国間にまたがり水道事業を営む企業に対する投資も盛んになってきた。投資銀行や国際的な金融機関は次々と水ビジネスに参入する動きを加速させている。すでにアメリカにおいては、こうした水ビジネスに投じられた資金は5,000億ドルを超えたと見られる。大手金融機関の見積もりでは、数年以内にこの水関連の投資マネーはアメリカだけで1兆ドルを超えることになりそうだ。さらに驚くべき予測は、近い将来、アメリカはじめ世界各地でプライベートな水道供給サービスや水の囲い込みの動きが加速するとの予測である。

 このところ、水問題に関するメディアの報道も急速に増えてくるようになった。いわゆる「スーパーインベスターズ」と呼ばれる、潤沢な資金をバックに地球の環境問題を自らの資産形成に役立てようとする投資家の動きが活発化。世界中の投資家の資金が新たな投資先を求めて、世界各地の水利権や水処理関係の技術を持つ企業に流れ込み始めている。また、同時に世界各国の上下水道事業の民営化、それに伴うインフラ整備にも多額の投資マネーが集まるようになってきている。

 こうした水ビジネスに世界の投資家が注目するようになった背景には、さまざまな要因が複雑に絡み合っている。2008年にウォールストリートを襲ったリーマン・ショック、そしてサブプライムローン危機などが、世界の経済を危機的状況に押しやった。その結果、世界各地で失業問題や景気の悪化、そして税収不足などが巻き起こり、従来は地方自治体など公的機関が扱っていた水道事業にも厳しいしわ寄せが及ぶようになってきた。

 つまるところ、税収不足から上下水道の供給サービスに支障をきたすようになってきた自治体が相次いで発生しているのである。彼らの唯一の頼みは民営化という方向である。民間ビジネスの手法を取り入れることにより、無駄を排し効率的な経営を追及することで未曽有の経済危機を乗り越えようというわけだ。

(つづく)

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<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸(はまだ かずゆき)
参議院議員。国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選を果たした。


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