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地域づくりにマーケティング発想を!(12)中心市街地の活性化策~大店法からまちづくり3法へ(2)
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2011年3月25日 10:55

 2000年に本格的に施行されるようになった「まちづくり3法」ですが、その目玉は中心市街地活性化法に基づいた「TMO(Town Management Organization)」の設置でした。TMOとは、それまでの市街地活性化における体制の問題点として、国、地方自治体、商工会議所、市民の連携が十分ではなかったという反省から、中心市街地の活性化を地域が一体となって進めるため、まちを経営的な発想からマネージメントする組織が必要であるとの認識により設置された機関です。主に、商工会議所やまちづくり会社などが受け入れ機関となっています。TMOは、中心市街地の商業を一体的に管理し、業種構成、店舗配置、基盤整備およびイベントなどのソフト事業を推進し、まちの運営を横断的・総合的に調整、プロデュースするもので、各地で取り組みが進められました。
 しかし、結論的にはこのまちづくり3法は、06年に見直されることになります。その要因は、基本計画を策定するに当たっての住民ニーズの把握や目標設定が不十分であったり、あいまいな商業集積設定など、計画そのもののあいまいさが多くの自治体で見られたことにありました。また、各商業者、自治体の活性化に向けた認識の一致が見られない、中心市街地の各種問題に対する問題意識が共有できていない、事業を実施するにあたっての人材不足、財務的な裏づけがない、行政内部の連携が不十分などと、各種の問題が噴出したためです。
 一方この間、地方都市では少子高齢化の進行、製造業の撤退による雇用の場の減少などにより都市の活力がますます低下します。これに呼応するようにして同じく地方都市では、歴史、文化の喪失、地域コミュニティ力の減少、まち並み景観の悪化、犯罪の増加など、中心市街地を取り巻く環境はますます悪くなります。
 こうした状況から政府は、06年に都市計画法、中心市街地の活性化に関する法律を改正したわけです。このうち中心市街地活性化法では、基本理念、責務規定の創設を行なっています。その内容は、「目指すべき中心市街地の方向性、地域の関係者の取り組みや国の支援のあり方について基本となる理念を明らかにする。また、国、地方公共団体および事業者の責務規定を設ける」というものです。また、国による「選択と集中」の強化を行ない、がんばる地域には相応の支援をしようというものでした。具体的には、中心市街地活性化本部の設置、内閣総理大臣による基本計画の認定制度(中心市街地活性化基本計画)の創設を行なっています。また、多様な民間主体の参画を図るために、中心市街地整備推進機構、商工会または商工会議所などにより組織される「中心市街地活性化協議会」の制度化などを行なっています。
 これまでに認定された基本計画は、現在全国で100市、103計画あり、九州での認定は、17市19計画(熊本市=熊本地区・植木地区、八代市、豊後高田市、宮崎市、鹿児島市、久留米、日向市、北九州市=小倉地区、黒崎地区、諫早市、大分市、別府市、山鹿市、直方市、小城市、大村市、唐津市、佐伯市)となっています。
 現在、この基本計画に基づいて全国各地で中心市街地活性化協議会が設立され、この機関を中心にまちづくりが推し進められている状況です。
 なお、改正まちづくり3法においては、都市計画法の改正にもポイントがありました。それは、延べ床面積が1万m2を超す大型小売店舗などの大規模集客施設の出店は、「商業」「近隣商業」「準工業」の3種の地域のみに限定されたということです。つまり、「市街化調整区域」など郊外での大型商業施設の立地を抑制し、まちなかに大型商業施設の誘導を行なおうということになったわけです。このため、郊外SCを展開する大型店チェーンは窮地に陥ります。イオングループイオングループは、1万m2以下のSuC(スーパーセンター)という新業態を展開するという戦略を打ち出しましたが、現在のところ、はかばかしい展開はできていないようです。なお、同法では延べ床面積が1万m2を超す飲食店や映画館、スタジアム、娯楽施設なども大規模集客施設とみなし、規制対象に含めることとしており、公共施設の中心市街地誘導とともに生活利便施設の市街地集中策をとったわけです。いわゆるコンパクトシティの形成です。
 このようなコンパクトシティを目指す中心市街地活性化地域においては、中心市街地活性化協議会を設置しそれなりの財政支援措置を受け、官民を含めた関係者において、そのまちづくりを協議することとなった次第です。この活性化基本計画は5年間の計画であり、開始初年度に基本計画の認定を受けた富山市や青森市他においては11年度が最終年度となり、その結末が注目されています。活性化基本計画においては、各種事業による成果の数値目標が定められておりその行方に関心を持たれているのです。これらの具体的な展開方向については、北九州市小倉地区中心市街地の動向も含めて次回以降にお話しします。

(つづく)

(株)地域マーケティング研究所
吉田潔氏代表取締役 吉田 潔
福岡市中央区天神4-9-10 正友ビル5F
TEL:092-713-2121
URL:http://www.mrkt.jp/


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