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次世代リーダー対談「運送業の未来は?」~中小企業の事業承継は「温故知新」(後)
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2011年8月28日 07:00
(株)イトキュー 代表取締役社長 中原 昌臣 氏
(株)古澤運送 専務 古澤 吉優 氏

(株)イトキュー 代表取締役社長 中原 昌臣 氏 (株)古澤運送 専務 古澤 吉優 氏

<進化し続ける可能性>

(株)古澤運送 専務 古澤 吉優 氏 古澤 イトキューさんは現在の業務形態だけでなく、農業生産という枠で全体を考えられていますね。そういった柔軟な姿勢を見習いたいです。僕も会社に入って間もない頃は漠然といただいた仕事をこなしていましたが、ある時、ふと新聞を運ぶ意義について考えてみたんです。そしたら、やはり新聞は日本の文化として毎朝欠かせないもので、その普遍的な商品を時間通りに家庭の日常に届ける。それが最大の意義ではないでしょうか。当たり前が当たり前にあるためには、輸送の品質こそ守るべきものだと。

 中原 同感です。よりよい品質を守るためには、よりよい環境のなかで仕事をしていくべきでしょう。そのために、弊社はトラックにこだわってきました。まず、走行中の荷崩れや荷痛みを防ぐためのエアーサス。これによって快適な乗り心地と積荷の安全性を確保することができました。次に冷房から暖房までさまざまな温度帯を管理できる最新の保冷機能を付属することで、どのような商品にも対応できる柔軟な車両を実現しています。

 古澤 そこまで臨機応変なトラックを作るのは、本当に勇気がいりますよね。品質を高めるために投資したとしても、収益は約束されません。どこまで理想を追求するのかという見極めは、本当に難しいです。

 中原 でもその分、新たな分野での仕事が増えることもあるんですよ。現在は花キや野菜などが中心ですが、この同じトラックで精密機械などの商品を取り扱うことも可能です。このおかげで、幅広く事業を拡大していけるという利点もあります。次代に合わせた物流を構築するのか、次代を作る物流の構築をするのか大きなポイントになりますよね。

 古澤 たしかにそういった取り組みは、今後、必要となりますね。いろいろなことに挑戦して、そこから生まれる市場もたくさんあるでしょう。

 中原 物流業界のなかの枠という概念を壊すことで、新しい可能性を見つけていく。それって経営者としてはやりがいがありますよね。

 古澤 今は厳しい時代ですが、ある意味でどこにでもチャンスはあるように思えます。物流業界のなかの枠のひとつにすぎない新聞でも、頑張れる選択肢があるはずです。その選択肢は少ないだけで、必ずどこかに企業の成長につながるヒントが転がっている。まずは、そう思えないと次世代は見えてきません。既存事業者の後継者はそういう多角的な経営を考えていくべきではないでしょうか。

<後継者の役割>

 中原 そうなると、注目すべきは"情報"ですね。そういったヒントとなる情報を迅速かつ正確に掴んで対応し、発信していく。ここが大事だと思います。
輸送トラック内部 農業でいえば、生産者と消費者、双方が持つ問題を私たちが持つ情報で解決することができるんです。たとえば、市場に対してどんな商品を作っていけばいいのかを生産者側に教えるだけで、需要と供給のコントロールができる。そうすることで、生産者側は無駄な商品を作る手間を省くことができるし、その分、消費者に低コストで提供することもできます。正直、私たちのような物流部門だけが生き残ったとしても、生産者などがいなければ意味がありません。

 古澤 おっしゃる通りです。今の私たち世代は、祖父や父の代ではできなかった情報発信をすることができます。私たちもようやく自社のホームページを立ち上げようとしているところですが、まずは自社の業務内容を発信して、幅広く業種に関心を持ってもらうこと考えています

 中原 そうすることで受け手は「こんなこともしてくれるんじゃないか」というような想像を掻き立てることにつながりますね。

 古澤 そうなんです。それだけでも情報発信する価値は充分にあると思います。私たちの世代だからこそできる新たな可能性を、情報を通して追求していきたいです。

 中原 企業として変われる部分と変えない部分を見極めることも、私たち後継者の役目だと思います。また、情報を仕入れて発信していくことは個々の事業者にも、業界全体としても重要なことでしょう。最終的には運送業者同士がつながることで、輸送のコードシェアが実現できれば面白いですね。

 古澤 縮小するマーケットに対応するためには、そういう発想も必要ですね。限られたパイの取り合いではなく、新しい需要創出にむけた取り組み。そんな考え方が必要なんでしょう。サービスの質を落とさずに企業を存続させるためには、幅広い視点での事業構築が不可欠だとを改めて感じました。

 中原 今日は、いろいろな意見交換ができて良い刺激になりました。お互い、新たな可能性を求めて頑張っていきましょう。

 古澤 そうですね。本当に今日は有意義な時間でした。ありがとうございました。

(了)

【文・構成:藤谷 慎吾】

≪ (前) 

<プロフィール>
中原 昌臣中原 昌臣(なかはら・まさおみ)
1973年、福岡県糸島市(旧・前原市)生まれ。専門学校卒業後、愛知県のプラスティック総合製造メーカーに就職。2002年帰郷、(株)イトキュー入社。常務取締役、営業本部長兼企画事業部長を経て11年8月1日に代表取締役社長に就任。

古澤 吉優古澤 吉優(ふるさわ・よしまさ)
1979年、福岡県糟屋郡志免町生まれ。西南学院大学法学部卒業後、ゴルフトーナメント運営や豆腐販売営業などを経験。2002年より(有)古澤運送 に入社。趣味はダーツとゴルフ。

<COMPANY INFORMATION>
株式会社イトキュー
代 表:中原 昌臣
所在地:福岡県糸島市多久819-1
設 立:1975年1月
資本金:1,000万円

株式会社古澤運送
代 表:古澤 常康
所在地:福岡県糟屋郡志免町南里4-12-1
設 立:1979年7月
資本金:500万円

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