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【宗像特集】「柔らかく、住んでみたいまち」へ~宗像市長 谷井博美氏(4)
自立する地域社会
2011年9月 8日 07:00

中村もとき氏 中村 さあ、そこで私は世界遺産についてお聞きしたいのですが、私は沖ノ島を世界遺産にすることに疑問を持ったんですよ。なぜかというと、沖ノ島は「神の島」であって、女人禁制であり、男も年に1回だけ、しかも斎戒沐浴して入らないといけないわけでしょ。世界遺産になると観光地になるわけですよ。結果として。
 つまり、観光客を島のなかに入れなければならなくなります。それなのに、なぜ世界遺産にこだわるんですか。私にとっては矛盾です。

 谷井 その考え方は間違いとは言いませんが、大きく違うのは、世界遺産というのはあくまで世界の貴重な遺産を保存・保護するというのが第1の目的です。ですから、世界に1つしかない沖ノ島だからこそ、その価値があるということで、暫定リストまでいったんですね。この島も、船の性能が良くなった現在、物理的には誰でもが渡ることができ、結果として島が荒らされることにつながります。あそこにしかいない動植物がたくさんありますし、こうした環境のなかで行なわれた古代の祭祀の遺跡、そういった観点からの保護・保存が必要です。あとはすばらしさを知ってもらう。

 中村 今のお話はよくわかりますが、世界遺産にしたばっかりに荒れ果ててしまった場所もたくさんあるわけですよ。ここだけ女人禁制、斎戒沐浴というわけにはいかないと思いますよ。

 谷井 それはありえません。なぜなら、世界遺産の条件に「神の島」としての禁忌を含んでいるからです。だから、ほかの世界遺産と異なり、沖の島への観光での入島は考えていません。大島から遥拝してもらおうと考えています。

 中村 でも、それは世界が認めるでしょうか。本当に保護・保存が目的なら、福岡レベル、日本レベルですればいいと思うんですが。

 谷井 結果として、「宗像」の名前を知っていただくことが大事です。あと、世界遺産は沖ノ島だけでなく、宗像大社を含めた関連遺産群があります。陸地側は誰が来てもいいわけです。ですから、このまちがこれから伸びていくためには、そうしたものを宗像ブランドとして発信し、たくさんの人に来てもらう必要があります。

 中村 そういえば、熊野は世界遺産になったばっかりに散々な状況になっているという事実がありましてね。だからどうしても、「宗像の人はそれがわかっていて世界遺産と言っているんだろうか」と聞きたかったわけですよ。

 谷井 そのお気持ちはよくわかります。たしかに麻生渡前福岡県知事も懸念していました。世界遺産となったとき、沖ノ島にどういう風にして人を入れずに守っていくか。これを解決しなければなりません。

 中村 そうなると、沖ノ島の良さをどう伝えていくかが問題ですね。

宗像市長 谷井博美 氏 谷井 今、県や福津市とともに世界遺産推進協議会を設置しております。世界遺産になればガイダンスの施設がいるでしょう。そこで当面、宗像大社前にある「アクシス玄海」をガイダンス施設に改装中です。そこでは3Dで沖津宮に参拝している感覚になれるようなシステムをつくる予定です。あとは宗像大社の神宝館を活用すべきでしょうね。

(つづく)

【文・構成:大根田 康介】

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<プロフィール>
谷井 博美谷井 博美(たにい ひろみ)
 1940年愛知県名古屋市生まれ。幼少より熊本で育つ。63年熊本大学法文学部を卒業し、福岡県庁に入庁後、福岡県鞍手福祉事務所に勤める。88年県立小倉高等技術専門校長に就任。89年県環境保全施設計画室長、92年、県農政部副理事兼農政課長、94年県企画振興部空港対策長、96年企画振興部長と、県の要職を歴任。99年に福岡県庁を退職し、空港周辺整備機構福岡空港事業本部理事に就任。01年宗像市助役、03年からは新宗像市助役を務める。06年宗像市長に就任。10年、市長選に当選し2期目を務める。


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