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「人生」極める

第1回 「やまじいのマングローブ」 環境保全型社会の羅針盤(前)~(株)ワイエルインベスト・山本社長
「人生」極める
2011年11月11日 11:00
株式会社ワイエルインベスト 代表取締役社長 山本 亮

 「自然保護と経済発展は結び付かない。」

山本-亮-社長.jpg 2004年、山本亮社長が株式会社ワイエルインベストを立ち上げた際、多くの人々がそう考えた。「戦後の経済成長を支えてきた材木伐採事業を辞め、インドネシアでのマングローブ植林事業を始める必要があるのか」と、問われる声に、山本社長は「環境保護、特にco2削減は私の欲である。人が稼がなきゃいかんと思うのと同じぐらいの欲である」と、言い切ってきた。

 現在、UNEP(国連環境計画)が報告書のなかで挙げている『資本の誤配分』、自然資本を犠牲にして工業、金融、人的各資本を蓄積してきたという事実を、山本社長は、その当時、すでに感知していたのかもしれない。

 1990年から2000年に掛けて、環境保護の重要性が国際的に問われ始めた。1992年、ブラジルのリオデジャネイロで開催された国連地球サミットで地球温暖化がテーマとなり、気候変動の国際的な対応のための条約UNFCCC(気候変動枠組条約)を定め、94年には国連の運営組織が発効した。その3年後、UNFCCCの原則を引き継ぎ、国際的規模で地球温暖化防止対策を実践することを目的とした京都議定書も発効した。新事業を興した山本社長の念頭にも京都議定書を活用するプランがあった。しかし、山本社長の新事業を後押ししてくれるはずの議定書が、皮肉にも行く手をはばむことになる。

 所々の問題が生じ、実践が立ち遅れた京都議定書が掲げるCO2削減期間は2008年から12年まで。しかし、ワイエルインベスト社は、指定期間以前に削減システムを構築していた。結果、CO2削減努力目標の対象として認められず排出権取引による資金調達ができなくなったのだ。このことは大きな誤算となった。

 「もっと資金があれば、種苗や土壌の改良、開発にもっと多くを投資できただろう」と、山本社長は当時を振り返る。しかし、山本社長は私財を投げ打って、京都議定書が掲げる案のひとつ『クリーン開発メカニズム』の仕組みを実直に実践した。それは、先進国とのプロジェクトにより、途上国の持続可能な成長に資する、という仕組みである。具体的には、インドネシアの未開地に飛び込み衣食住をともにしながら、共同でマングローブ植林と良質なエビ養殖場の再生プロジェクトを手掛け続けるというものだ。風呂もシャワーもない場所で腰まで泥に浸かりながら苗を植える、文字通り泥まみれの活動となった。

(つづく)
【黒岩 理恵子】

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