<進出企業の約9割が利益>
日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査によると、インドネシアに進出した日系企業の約9割が儲かっているという。インドネシアでの輸出比率50%未満の企業の営業利益の見込みは、韓国、香港・マカオなどを抑えて90・9%が黒字と、アジア圏でトップに立っている。なかでも、内販型企業の黒字割合がとくに高くなっている。今後の日本経済にとって、インドネシアとの関係強化は欠かせない。
一方で、1月27日、ジャカルタ郊外の工業団地で労働者による大規模デモが起こるなど、最低賃金引き上げへの大衆の要求も高まっている。今回のデモでは、日系企業を含む多くの工場で、一時操業を停止するなど、生産活動のリスクも出てきている。
<マスタープランで主導権を握れるかどうか>
インドネシアの上昇気流に、日本がうまく乗るにはどうすればいいのか。
ジェトロ海外調査部、アジア大洋州課の北見創氏は、「自動車関連で、うまく乗っていければ日本に利がある。エコカーなどの政策をインドネシア政府がどのように取っていくのか。自動車を軸に各メーカーがエコの部門に入っていけば、部品も日本のものを使用することになる。精密機械など日本の強い分野で、チャンスがあると思う」と語る。
インドネシア政府は、昨年5月に、経済開発加速化・拡充マスタープランを発表した。2025年までに先進国入りを目指すという野心的なプランだ。中国、韓国とのパートナーシップが結ばれており、アジア各国を中心に、し烈な投資競争となりそうだ。
現在のインドネシアは、ジャワ島にあるジャカルタ首都圏に一極集中。政府としては、これをスマトラ島、カリマンタン島など国土全体に均衡させ、経済成長を持続したい考え。これに日本がどう食い込むのか。技術を有する日本が、現地ニーズをくみ上げ、WIN-WINの関係を築けるかどうかがキーポイントとなる。
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