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震災後に新たな注目を浴びる「テレワーク」~厚労省主催セミナー(1)
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2012年2月10日 16:00

 情報通信技術(IT)を活用した就業場所や時間にとらわれない柔軟な働き方(テレワーク)が、東日本大震災後、新たな注目を集めている。震災直後、とくに1週間、首都圏を中心に交通混乱や停電・節電によって事業継続が困難な企業が相次いだからだ。今、在宅勤務を導入し、企業内の情報共有化と災害対策に乗り出す企業が増加している。

<企業強化のチャンス>
sora_6.jpg 2月9日、「テレワーク最新情報」と実践例を学ぶ「テレワークセミナー」が福岡市内で開かれた(厚生労働省主催)。セミナーの講師は、労働政策研究・研修機構の伊岐典子主席統括研究員、(株)テレワークマネジメント(東京都千代田区)の田澤由利社長、特定社会保険労務士の野口邦夫氏(「社労士のぐちくにを事務所」代表)、(株)NTTデータの北村有紀・リージョナルビジネス事業本部課長代理の4氏。テレワークをリードする第一人者が勢ぞろいした。

 テレワークを推進する政府は、在宅型テレワーカーを2015年までに700万人にするのが目標だ。厚生労働省だけでなく、国土交通省、経済産業省、総務省、内閣府が連携しながら推進している。

 田澤社長は08年に同社を設立。テレワーク導入による「企業の生産性向上」に取り組み、導入を支援している。同社自身の在宅勤務率は83%にのぼる。

 「テレワークの導入は、企業強化のチャンス」と、田澤社長は話す。

<「業務の見える化」が不可欠>
 しかし現状では多くの企業に「導入時のカベ」がある。導入が進んでいない理由は、「テレワークに適した仕事がない」「職務遂行上の管理が難しい」「情報漏えいのリスク」だ。逆に言えば、テレワークを導入するには、従業員の個々の業務(仕事)の明確化、整理・効率化、役割分担の改革が不可欠だ。

 「業務の見直し、業務のIT化、業務の見える化」によって、業務効率の向上、人材確保、ノウハウの蓄積、経費の節減、ワークライフバランスが可能になるという。
 田澤社長は、「6,100億円の国内市場規模(10年)は、15年には1兆180億円になると予測されている。東日本大震災後、全日空やAIU保険会社などが実際に導入、テレワークの重要性が増加したとする企業は40%と、ニーズは急上昇している」と語った。「在宅でできる仕事をつくろう」ではなく、「いつもの仕事が在宅でできる」ように、社内業務を変えることを提案し、「1つ1つの課題を解決した企業が、最大のメリットを享受できる」と強調した。

<CSR対策として有効>
 伊岐主席統括研究員は、テレワークを導入した企業は95%が効果があるとしており、在宅勤務は生産性の向上をもたらすと同時に、ワークライフバランスにもっとも効果が高かったと紹介。一方、在宅勤務は裁量性が高く、労働組合側には長時間労働になることへ警戒心が強い。

 伊岐研究員は、テレワークを制度として実施しているケースでは「残業がよくある」のは3割だが、上司や自分の裁量で実施している場合は「残業がよくある」のは6割以上という調査結果を示した。

 「制度化しているところでは長時間労働になっておらず、制度化していないところのほうが長時間労働だ」と指摘。諸外国の状況もあげながら、多くの職場にメリットが生まれる在宅勤務の導入をよびかけた。

 また、企業にとって、近年、取引先の選定に当たって社会的責任(CSR)を果たしているかどうかが重要になっている。10年11月に発行された「ISO26000」も、CSRを後押ししている。

 伊岐研究員は、「ISO26000」が、「全ての労働者に、最大限可能な限り、仕事と生活のバランスがとれる労働条件、及び関係する地域における類似の雇用主から与えられる条件と同等の労働条件を与える」としていることをあげ、人事管理戦略の中で在宅勤務を制度化し、CSR対策としての取り組みを企業にうながした。

(つづく)
【山本 弘之】

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