今や我々の生活において、必要不可欠な存在となっている自動車。誕生から現在までのあいだにめまぐるしいスピードで進化を続け、蒸気自動車からガソリン自動車、ハイブリッドカー、電気自動車と、時代の変遷とともに新たな自動車が次々と世に生み出されてきている。
現在、この自動車の技術的な進歩による変化と同じように、多様化するライフスタイルの変化に合わせて自動車の利用スタイルにも変化が訪れつつある。
「今、人々が車を使用する形態が変化してきています。たとえば、今までは車は『所有するもの』という考え方が一般的でしたが、近年普及してきた『カーシェアリング』のように、現在では、車を用途に応じて『一時的に利用するもの』との考え方も生まれてきています」――と語るのは、福岡市のベンチャー企業、(株)リーボ代表の松尾龍馬氏だ。
同社では、小型電気自動車(EVミニカー)のカーシェアリング・レンタル事業を柱とした、総合モビリティサービスを手がけている。同社が取り扱っているEVミニカーは、1人乗りの超小型のもの。長距離や高速での移動には向いていないが、環境性能や運用コストの面で優れており、日常の買い物や街乗りなどで使用する分には十分なスペックとなっている。
このEVミニカーの普及と利用実態の調査のため、同社では国土交通省による超小型モビリティ実証実験などにも積極的に参加。直近では2011年11月4日から12年2月19日までの期間、福岡市港湾局や九州大学との連携し、福岡市の「アイランドシティ」内でのEVミニカーを用いたレンタカーサービスでの実証実験も実施している。この実証実験では、当初はもの珍しさから利用する人が多かったそうだが、次第に日常の足としての利用者が増えていったという。実際に乗った人からは概ね高評価を得ているといい、利用者のなかには「アイランドシティから約20km離れている、大野城まで乗って行って戻ってこられる"ツワモノ"もいらっしゃいました(笑)」(松尾氏)という。
また、現在、新たにインターネットシステム事業にも着手している。この事業で目指すのは、EVミニカーの無人貸し出しができるシステムの開発だ。現状、EVミニカーは規格の違いから既存のシステムに対応できておらず、有人貸し出しでのカーシェアリングしか行なえていない。そのため、携帯電話などを使ったEVカーシェアシステムを現在開発中だ。「今後、全国へと広げていくためには、無人の貸し出しシステムが"キモ"になります」(松尾氏)とのことで、近いうちにプロトタイプを完成させ、そこから試験を重ねたうえで、製品としてリリースしていくという。
松尾氏が目指しているのは、「新たな自動車社会の実現」だ。
「電車やバスなどは、大勢を移動させることを目的として動線を引いています。もちろんそれらは必要不可欠なものですが、それら"線"での交通インフラの隙間を"円"で補完していくような、手軽に利用できるモビリティを提案していきたいと思っています。既存の交通インフラでは満たすことのできない移動ニーズを、EVミニカーのようなモビリティで満たしていきたいと思っていますし、目的に合わせてモビリティが多様化していくのは良いことだと思います」(松尾氏)。
新たな自動車社会の実現を目指し、EVミニカーの可能性を追求し続けている、松尾氏および同社の夢は尽きない。
<COMPANY INFORMATION>
■(株)リーボ
代 表:松尾 龍馬
所在地:福岡市中央区大名1-10-4 MATCHビル3F
設 立:2011年7月
TEL:092-481-3499
URL:http://reevo.jp/
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