<現実論を読者に示した産経新聞>
産経新聞(4月7日付)は「普天間問題打開へ、嘉手納暫定移設案は検討の価値あり」と題する高橋昌之記者のコラムを掲載している。
このなかで、民主党議員の有志がまとめた嘉手納基地への移設案は、あくまで「暫定」で、「近い将来には県外、国外への移設を追及する」ことを前提としている。移設の際には訓練や基地機能の一部を県外に分散し、懸念されている騒音も増大させないことが盛り込まれているため、普天間の嘉手納暫定移設案は、問題を打開する可能性をもった有効な案のひとつだと述べている。
さらに高橋記者は、沖縄の方々も現在のまま、県外、国外への移転を主張して、何も進まないよりは、より実現可能な負担軽減につながる案の受け入れに踏み出してみてはどうか、とも提案している。
昨年(2011)5月、米国上院軍事委員会のカール・レビン委員長(民主党)、ジョン・マケイン筆頭委員(共和党)、ジム・ウエブ外交委員会東アジア太平洋小委員長という有力3上院議員が、名護市辺野古への移設は「実現不可能」として、国防総省に対し、嘉手納基地への移設を検討するよう求めていたことなどもコラムで紹介している。
<基地問題に対するスタンス>
両者の記事は、即、毎日、産経の基地問題に対する従来からのスタンスを如実に示している内容だ。毎日の偏った報道だけでは、普天間基地問題に対する正確な知識・情報は読者には伝わらない。
具体的な問題解決の一案を読者に示している高橋記者のコラムのほうが、新鮮で説得力のある「普天間基地論」ではないだろうか。
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<プロフィール>
濱口 和久 (はまぐち かずひさ)
昭和43年熊本県菊池市生まれ。防衛大学校材料物性工学科卒業。陸上自衛隊、舛添政治経済研究所、民主党本部幹事長室副部長、栃木市首席政策監などを経て、テイケイ株式会社常務取締役、国際地政学研究所研究員、日本政策研究センター研究員、日本文化チャンネル桜「防人の道 今日の自衛隊」キャスター、拓殖大学客員教授を務める。平成16年3月に竹島に本籍を移す。今年3月31日付でテイケイ株式会社を退職し、日本防災士機構認証研修機関の株式会社防災士研修センター常務取締役に就任した。『思城居(おもしろい)』(東京コラボ)、『祖国を誇りに思う心』(ハーベスト出版)などの著書のほかに、安全保障、領土・領海問題、日本の城郭についての論文多数。 公式HPはコチラ。
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