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【流通】世界トップの技術力を持つ日本の種苗業界(前)~中原採種場(株)
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2012年5月30日 15:30

 野菜や果実を生み出す原点にある種苗業界。無くてはならない業種にも関わらず消費者にとっては見えにくいのが実情だ。国内企業には、歴史が長い優良企業が少なくない。こうした企業の多くは技術的にも世界最高峰にあるとされる。福岡市博多区に本拠を置く中原採種場(株)もその一つ。研究開発部を統括する部長の諸岡譲氏に話を伺った。

――遺伝子組み換えは何が問題なのでしょうか。

0530_moroka.jpg 諸岡譲氏(以下、諸岡) 遺伝子組み換えには、一企業が国を支配できるほどの力を持つ可能性があります。

 農業関係の世界メジャー企業は、農薬・種苗などあらゆる分野を手がけています。例えば、大豆は、遺伝子組み換えによって、農薬をかけても枯れない大豆の品種があり、それを中国、南米に導入しています。
 適合する農薬をそのメジャー企業だけが持っているため、非遺伝子組み換え大豆を栽培しようとしたときには、その土地では枯れてしまいます。

 遺伝子組み換え品種は、除草剤をかけても枯れないものがあります。たとえば、遺伝子組み換えなどによって、何か表面に変な病気が出てくることで、すぐに体に悪い影響があるということはないかもしれません。しかし、生態系を変えていき、それが自然を破壊していく可能性というのは十分にあります。

 生態系が変わることと、一国を支配できる可能性があることが怖いのです。現在ブラジル、中国などの大豆は遺伝子組み換えの品種がほとんどです。種苗メーカーが遺伝子組み換えの特許を持っていて、それに対応する農薬も同じメーカーが持っており、その企業が世界市場シェアのほとんどを持っています。つまり、一部の多国籍企業が食料を支配することで、他国を支配することが、可能となるのです。

――遺伝子組み換え食品は、どれくらい流通しているものなのでしょうか。

 諸岡 日本は安全性が確認できないということで、遺伝子組み換えの品種は栽培できません。そのため、国内では実験的に栽培しているだけです。
 でも、ヨーロッパもアメリカなどは世界戦略として、積極的に遺伝子組み換えを研究しています。その世界戦略に呑み込まれているのは中国や南米で、多くの遺伝子組み換えの大豆、トウモロコシが栽培されています。

 ――種苗業界にとっても大変な問題ですね。

 諸岡 もし日本に遺伝子組み換えという技術が入って来ていたら、日本の種苗メーカーで生き残れるのは少数でしょう。
 韓国は、遺伝子組み換えを一部拒否しているようですけれど、やはりその防御できるだけの技術力が無かったのでしょう。韓国の種苗メーカーのほとんどがアメリカやヨーロッパの外資系に吸収されてしまって、1割程度しか残っておりません。

 ――遺伝子組み換えに対抗する日本の種苗メーカーの技術力について教えてください。

 諸岡 日本の種苗メーカーにはF1と呼ばれる技術があります。一代雑種と言われるもので、第一世代目の子孫のことです。遺伝子型は均一です。雑種第一代の示す形質が両親のいずれよりも優れる場合、この現象を雑種強勢といいます。特に前述の雑種強勢を利用して、より有用な形質を伸ばす方向に品種改良されたものは、品種改良などに使われています。F1の品種は、均一で高品質で病気に強い特性を持つものがあります。しかし、できた生産物から種を取ると、その種からできるものは、その特性を引き継ぎません。メンデルの法則でF2になってしまいます。つまり、交配しないとできません。両方の親を持っていないといけなくて、毎回交配しないといけないです。これが、種苗メーカーの強みとも言えます。

 日本の育種の技術力が高く、海外からの脅威というものは、あまり感じません。なぜかというと、F1を作る技術は、繊細で正確な作業が要求されます。日本人には、むいていますが、外国人はなかなかできません。遺伝子資源をきちんと管理し、維持しておけば、技術を海外から盗まれることもありません。

(つづく)
【柚木 聡美】

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