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【流通】世界トップの技術力を持つ日本の種苗業界(後)~中原採種場(株)
流通
2012年5月31日 10:30

 ――種苗メーカーとしてお客様に求められる要望はどのようなものがあるのでしょうか。

0531_honsya.jpg 諸岡 昔は重量があって、とにかく大きく、という要望が多かったですね。子供が多く、栄養を取るためにも、どんどん食べないといけませんから、野菜もサイズが大きいものが人気でした。その後、少子化もあり、核家族化となりました。そうなると、大きいものを買わなくなり、手のひらサイズのかぼちゃなど、お一人様用などの小さな野菜の要望が高まりました。

 最近は、料理をしない人が増加したことで、また要求も変わってきており、加工適性のある物が人気となりました。いくら小さなかぼちゃを作ったところで、料理をしなければメリットはありません。料理をしなくなった代わりに伸びたのが弁当、惣菜などの中食です。そうなると、加工適性のある品種を求められます。おでん用大根だと、コンビニのおでん容器のマスのなかにちょうどよく入るサイズの大根を求められます。長さも、加工しやすいように、決められたサイズできれいに止めないといけません。おまけに、無駄な部分がないように均一なサイズが求められます。そこまで品種改良で求められるようになりました。

 ――品種改良で求められる要望も様々なのですね。

 諸岡 品種改良では、ブリーダーと呼ばれる人がおります。ブリーダーが多くの部分で手作業の交配を行ない、実験を繰り返して品種改良を行なっていきます。

 大体、30~40年、一生勤めあげて3品種できればいい方です。味が良い品種ができたけれども、病気に弱かったとか。良い品種ができても、最後の段階で種がわずかしか取れないとなれば、商品化できません。お客様から見えないけれど、世に出ない品種がたくさんあるということですね。


 ――今後の日本の農業についてお聞かせください。

 諸岡 国内の農業は、高齢化後継者不足もあり、現状維持が精いっぱいだと思います。私は、農業は商業、工業と比べ、一番難しいのではないかと思っています。農業は、一年先の予測さえできない職業だと思います。今は、異常気象などもありますから、平年より2~3割減などは普通です。悪い時は2割しか取れないということもあります。

 農業の異業種参入はすごく多いですが、どこも苦労していらっしゃるようです。国が支援していることもあり、異業種参入型の企業は、植物工場が多いですね。日本の得意のハイテク技術で農業をやっていくという考え方です。また、期待されているのは、震災復興です。外気と環境と遮断されて水も、土も空気も制御できるので、実際、東北にも導入されています。

0531_kaiwaredaikon1.jpg また、高齢化、少子化という状況のなか、量は少ないけれども、機能性や栄養価などが濃縮されているものが、要求されます。昔のように、大きな野菜を食べるという習慣がなくなってきました。だから、いま必要なものは、いかに少量で機能性が高く体にいいものかどうかでしょう。弊社のスプラウト・シリーズは、このコンセプトです。

 また、農業を取り巻く問題として、TPPがあります。野菜は、鮮度の問題で輸入がそれほど多くありません。そのため、野菜の国内自給率は極めて高いです。逆に野菜や種苗は、日本ブランドの輸出の有望な品目として、もっと評価されるべきだと思います。

 種苗メーカー各社は、今まで国からのサポートも少なかったため、必死に生きる道を模索し技術力を高めたり、海外進出を積極的に行ないながら、現在に至っています。農業も今後、必死に生きる道を模索しチャンスをつかむときかもしれません。これが、農業再生の一つのヒントになってくれればと思います。

(了)
【柚木 聡美】

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<COMPANY INFORMATION>
■中原採種場(株)
代 表:内村 清剛
所在地:福岡市博多区那珂5丁目9-25
創 業:1950年7月
資本金:2,000万円
TEL:092-591-0310
URL:http://www.nakahara-seed.co.jp/

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2012年10月30日 15:08
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