<誘致競争の激化>
LCCの路線の増加にともない、各空港間での誘致合戦も激化する。成田国際空港では、LCCの参入を促進するため、使用料を抑えた専用のターミナルを14年までに建設予定。10年には、京成電鉄の成田スカイアクセスが開業し、日暮里と成田空港間を36分で結んでいる。都心とのアクセスを良くし、これまでのように国際線のみに頼るのではなく、国際線→国内線へと成田空港のみで乗り換えが行なえるように、より利便性のいい空港へと脱皮を図る。
海外からの観光客にとって、成田国際空港は「都心、観光地までのアクセスが悪い」と、かなり評判がよくない。グローバル化が進むなか、航空インフラは、経済活性化に欠かせない要素。シンガポール、香港、ソウルなどのアジア各国の空港と比べると、東京の玄関口でもある成田国際空港は中心地となる市街地までが遠く、機能性としては課題が残る。
シンガポールのチャンギ国際空港、ソウルの仁川国際空港は、都心へのアクセスもよく、優良なハブ空港として機能している。アメリカ、ヨーロッパなどから日本の中国地方、九州などに戻ってくるにも、仁川空港を経由したほうが便利である場合も多く、日本の関西国際空港などのライバルとして立ちはだかる。
<空港周辺都市の集客力に>
国際便が増える場合は、その都市に外国人観光客を集めることになる。LCCは、空港使用料が格安との理由で地方の空港を使うことが多く、LCCが人を移動させ、集めることで地方経済に貢献することが期待される。
関西国際空港に拠点を置くピーチ・アビエーションは関西との地域密着型で売り込む。大阪、京都などの観光資源を生かし、地域とのウィン―ウィンの関係を作れるかどうかが、企業としての成長のカギを握る。中国の春秋空港は、茨城、高松、佐賀などこれまでスポットが当たらなかった地方に、上海など中国からの観光客を呼び込むことに成功。一部、佐賀からは福岡に、茨城からは首都圏に旅行客が降りた土地を観光せずにスルーしているという話もある...。だが、スルーされないように地方都市が観光資源の掘り起こしの努力をする機会が提供された。
LCCの成長により、人、モノ、金が移動しやすくなることで、各都市、各空港の競争は激しくなるだろう。地方の都市にとっては、チャンスでもある。
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