敗れはしたものの山口県知事選挙における元大阪市特別顧問・NPO法人環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏の善戦は、既得権側に衝撃を与えた。地域住民の新しい政治に対する期待を感じさせる内容だったのではないだろうか。次期総選挙をはじめ、これから行なわれる選挙に何らかの影響がおよぼされるものと考える。
福岡県では、那珂川町において、町長選挙が8月14日に告示され、19日に投開票が行なわれる。今回は現職対新人の一騎打ちになる公算が高く、同選挙においても既得権対非既得権の構図と言える。
那珂川町は福岡市のベッドタウンとして急速に人口が増加し、現在、人口は約5万人、約1万9,000世帯が暮らしている。そのうち町外からの転入者が8割を占めている。また、高齢化率が16.8%と福岡県内でも4番目に低く、とくに都市部では若い世代が多い。その一方で、古い住宅団地や中山間地域では高齢化率が30%を超えるところも多く、地域の課題は様々だ。このようななか、現時点で立候補を表明しているのは現職の武末茂喜(たけすえ しげき)氏(59)と、町議会議員で新人の森田俊文(もりた としふみ)氏(48)だ。
武末氏は地元那珂川町出身で元町役場職員。現職の強みを生かし後援会組織を固めている。1期目において、県内の他の自治体に先駆けて全小中学校全教室にエアコンの設置を決めたのが実績のひとつ。2期目では「住民が主役のまちづくり」を掲げ、住民参画の手法を取りながらまちづくりを目指している。
対する新人の森田氏は佐賀県出身、町外からの転入者だ。森田氏は、あえて後援会を組織しないといった従来型の選挙と一線を画した手法で挑む。後援会名簿を集めることも一切せず、ねらうのは浮動票の獲得だ。
これまで町議として、「節電の流れに逆行している」と、一貫して小中学校エアコン設置に反対を唱えてきた森田氏は、「教育とまちづくりのモデルシティ」を実現するための政策を訴えている。
はたして、那珂川町の有権者はどちらにこの町の未来を託すのか――。
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