<静岡に抜かれる!?>
そんな宇都宮餃子だが、総務省の家計調査の餃子消費量で連続首位をキープしてきたが、95年に一度、静岡市に僅差で抜かれている。「餃子のまち」を謳っていただけに、宇都宮の観光業界や餃子店関係者にとっては、ショックなニュースだった。
ただ、総務省の出しているデータは、家計調査であり、スーパーマーケットなどの生餃子や総菜の購入がデータのもとになっている。宇都宮の各餃子専門店、宇都宮みんみん、正嗣などで売っている餃子は、データに換算されない。つまり、観光客の食べている餃子は、ほぼデータには換算されないことになる。
しかし、95年に一度静岡市に抜かれたことで、地域の結束は新たなものになる。「餃子のまち」としてのクオリティを高めるため、市の商業観光課や餃子会を中心に、官民共同で餃子店マップを作製したり、周遊バスを出したりするなど、観光客が快適に食べ歩きを楽しむための環境を整えていった。また、訪れた観光客にリピートしてもらうため、ホスピタリティの向上にも努めた。これらの努力が、身を結ぶことになる。
<再度の首位奪還に燃える>
宇都宮は、翌年、餃子消費量でも、すぐに首位を奪還した。しかし、昨年、静岡県浜松市に再度、抜かれるという憂き目に。宇都宮市では、再び首位を奪還するための取り組みに力を入れている。
今年の上半期では、1世帯当たりの餃子購入額は宇都宮1,850円に対し、浜松が2,251円と、401円浜松にリードを許している。6月のデータでは、宇都宮342円、浜松344円と、2円差にまで迫っている。餃子会の鈴木氏は、「ここまでは、想定通りではある。商工会、観光業界、メディアでまとまって追い上げます」と、再度の首位奪還に燃えている。
昨年、首位を取った浜松餃子も、メディアを使って観光客誘致に力を入れるなど、宇都宮に対し攻勢をかけた。一時、浜松餃子との間に軋轢があったが、昨年、三重県津市で行なわれた餃子サミットで、「食文化を一緒に盛り上げましょう」と、宇都宮餃子と浜松餃子は、握手を交わした。
餃子をきっかけに、双方の地方都市の経済を盛り上げていく。宇都宮市では、現在、「宇都宮餃子首位奪還計画」と銘打ち、餃子購入額の首位奪還を市民に呼び掛け、餃子を食って食って食いまくっている。
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