福岡県東部に位置する赤村は、旧炭鉱の町・田川郡に属し、筑豊地方の一部であるこの村は筑豊と京築をわかつ内陸部の山地にある。四方に山々と畑が広がる自然豊かな風土を有する地で農業の盛んな土地だ。鳥越農園ネットワーク代表の鳥越和廣さんは今から37年前に脱サラしてこの故郷の赤村で無農薬、減農薬の野菜や米を生産している。現在、鳥越さんの農業にかける思いが広がり、地域の生産者の輪が広がっている。
<34年前から有機・無農薬栽培を手掛ける>
鳥越和廣さんは現在61歳。自然豊かな福岡県赤村で生まれ育ち、学卒後は福岡都市圏でサラリーマン生活を送っていた。しかし、周囲のスピードが早すぎる都会の生活に違和感を抱き、今から37年前の24歳の頃、「どうせ田舎に帰るなら、勤め人ではなく、農業をしたい」と一念発起。故郷に戻って農業に従事した。
有機・無農薬栽培に取り組み始めたのはその3年後。菊池養生園の竹熊先生の話を聞いたことで、安心・安全な食について考えるようになったのがキッカケだった。以後、今日に至るまでに地元・赤村を中心に九州各地の生産者と手を取り合いながらネットワークを構成し、1995年7月に「鳥越農園ネットワーク」を設立。現在、鳥越さんは息子で副代表の耕輔さんと5名の正社員を含む15名のスタッフで事業を運営している。
鳥越農園のある福岡県赤村は人口約3,400人で、農業に従事するのはそのうち2,000人と全体の約60%を占めている。ただし日本の農業人口の平均年齢は60代後半と言われるが、赤村は約74歳と全国的にもとくに高齢化が進んでいる。「人間は75歳を過ぎれば気力、体力ともに意欲が減退すると言われています。まだ何とかなっていますが、我々に残された時間はありません。早く手を打たないと赤村の農業は本当になくなります」と鳥越さんは危惧する。
日本全国でもとくに北海道と九州は青果の生産圏と言われているが、それらを支えているのは高齢者だ。「今までの考え方では始末に負えない所まできている。国や行政は真剣にこの問題に取り組むべき」と鳥越さんは訴える。
| (中) ≫
<日刊マックス流通のご案内>
日刊マックス流通は沖縄を除く九州地区の食品スーパー、ドラッグストア、ディスカウントストアなどの小売業の情報を、土日祝日を除く毎日タイムリーに配信しています。現在、1カ月間に限り、無料で配信させていただきます。無料試読希望者は、下記のメールフォームでお申し込み下さい。
※記事へのご意見はこちら