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「維新銀行 第二部 払暁」~第2章 クーデター計画(38)
経済小説
2012年12月 4日 07:00

<谷野頭取包囲網(38)>
 影山局長からバトンタッチを受けた河本金融課長は、
「実は先程局長から話がありましたように、特定の保険会社とは第五生命です。維新銀行が第五生命の女性保険外務員に肩入れをして、銀行ぐるみで保険勧誘に協力しているとの投書が随分前から届くようになっていました。過去十数年前からの投書の数は、50通は超えています。最初の頃は、同業者の妬みによる投書と判断して部内ではあまり問題にはしなかったのですが、前任の谷本頭取が頭取に就任した2年後の1994年、つまり植木会長が病気で亡くなられる1年前から急に投書の数が増えてきました。
 ちょうど谷本頭取が維新銀行で実権を掌握した時期と重なります。その頃から同業者の妬みだけでは片づけられないと思われる投書が、西部県内の各地から多く寄せられるようになり、我々の部内でも関心を持つようになりました。

sora_17.jpg その投書に登場する女性は、第五生命東南営業部に所属する山上正代保険外務員です。時には維新銀行の内部行員と思われる匿名の投書もありましたが、ただ単に第五生命の女性外務員に対して維新銀行の行員が保険勧誘に協力しているので止めさせてほしいとの内容で終わっており、踏み込むところまで行きませんでした。
 しかし昨年発生した2件の不祥事件と相前後するように、維新銀行を退職した元行員から便箋十数枚に渡り、びっしりと肉筆で書かれた一通の投書が届きました。それによると当時頭取であった谷本現相談役が、山上外務員と親しい関係にあり、銀行ぐるみで山上外務員の保険勧誘を支援している様子が書かれていました。
 それを積極的に支援したのは組合幹部出身の役員、具体的な名前を挙げますと、東南支店長の沢谷専務、西京支店長の吉沢常務、安芸本部長の北野常務、東部支店長の松木取締役、本店営業部長の大島取締役、福岡支店長の原口取締役、それに現在営業本部長の川中常務についは、審査担当役員の時に、各支店に第五生命の保険料ローンを積極的に取り組むように指示したと書かれています。

 以上7名の組合出身の役員と、それ以外に山上外務員に協力した役員として、栗野代表取締役会長と首都圏本部長の古谷取締役の2名、都合9名の取締役が谷本頭取の意向に沿って保険勧誘を推進していたことが分かっています」
と、淡々と聴取した内容を説明した。

 その時の谷野は、河本金融課長が名を挙げた9名のうち原口取締役を除く8名の取締役が、密かに「谷野頭取罷免」の『TK計画』を企てているとは夢にも思わなかった。

(つづく)
【北山 譲】

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※この作品はフィクションであり、登場する企業、団体、人物設定等については特定したものでありません。

▼関連リンク
・「維新銀行 第二部 払暁」~第1章 谷野頭取交代劇への序曲(1)


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