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【新春インタビュー】髙島宗一郎福岡市長「夢が描けるまち・福岡へ」(1)
行政
2013年1月 7日 07:00

 2010年12月の市長就任から2年が経ち、折り返し地点を迎えた髙島市政。その間、11年3月11日の東日本大震災、福島第一原発事故の発生以降、国政の混迷はさらに深まり、同時に、地方自治体の自立を求める声も強まっている。「アジアのリーダー都市」を目指す髙島市長は、この2年間をどのように見て、次の2年間の展開をどのように考えているのか。

(聞き手:弊社代表 児玉 直)

<時代の変革期の福岡市長>
 ――福岡市長に就任されてから2年が経ちました。

sinsyun_sityou.jpg 髙島宗一郎氏(以下、髙島) 全然違う業界から、政令指定都市・福岡市の市長になって2年、毎日いろんなことがありました。権限と現場を両方もっている点で、政令市は一般市とも違うし、県とも違います。「虫歯検診では何歳を対象に検診を実施しようか」とか、「街灯のLED化はどうしようか」とか、水道、待機児童、国際関係、港湾などなど、基礎自治体としての業務から県レベルの業務まで、ありとあらゆる分野を政令市は扱っています。どれだけレクチャーを受けても足りないほどです。

 ――少しかじった程度では、うかつに話ができないですしね。訊く側は「なんでも市長が知っている」と思っていますが・・・。しかし、この2年でいろいろありましたね。民主党が300議席を持ってしてもあの体たらく。そして、今回の衆院選で自民党の圧勝になった。2011年3月11日の東日本大震災も、いまだその傷跡が生々しく残っています。市長の立場から、どのように感じていますか。

 髙島 『時代の変革期』に市長をさせていただいていると感じています。価値観や考え方が大きな変化を迎えています。時代のスピード感が速くなっているのに、行政はそのままでいいというわけではありません。仕事をするスピード、決断のスピード、実行するスピードが求められています。また、これまでの新聞社ないしテレビ局が発信する情報だけではなく、デバイスが変化し、たとえば、インターネットのメディアなどで個人が情報を発信できるようになっています。動画も簡単に編集できるようになりました。ということは、個人が「これまで信じていたものが本当だったのか」と、いろんなことを知るようになります。そうしたニーズにも応えていかなければならないという点で、行政も変わらないといけません。

 ――九州新幹線が開通したことで人の流れが変わったり、中国からの観光客が激減したりと想像できない変化もありましたね。そこを想定して行政はやっていかなければなりません。

 髙島 そうですね。行政の経営という意味では、変化のスピードが早いので、リスクを分散することも考えさせられます。これまでの行動様式、意思決定のあり方などにおいて、いろいろな想定が必要になってきます。例えば外国からの観光客誘致についても、カントリーリスクを減らすため、特定の国に偏らないプロモーションをしていく必要があると考えています。

 ――『経営』とおっしゃいましたが、たとえば若年世代の人口増加や税収など、評価のパラメーターとしては何に重きを置いていますか。

 髙島 市民の暮らしの質を高めていくためには都市の成長が必要と考えています。福岡市の場合、9割の方が第3次産業に従事していますので、消費者を増やすことが重要です。そのため交流人口をいかに増やすかということを重視しています。
 そのために、まず短期的な成長戦略として観光を掲げ、商業のまち・福岡では、観光で得た財源が、教育や高齢者福祉などの施策に回っていくということを市民にご理解いただく必要があります。そのご理解があれば、例えばコンベンション参加者をパレードでお迎えするために道路を通行止めにしたり、公共空間を使った新しいおもてなしなどへのご理解も得られやすくなります。この2年、観光振興により交流人口を増やし成長を図っていくという戦略を明確にできたことは大きいのではないかと思っています。
 一方、『経営』の観点でいくと、都市が自立していこうとしても国の仕組みが壁となっています。福岡市が税収が増すために努力しても、増収すると国からの交付金が減らされるんです。モチベーションが上がらない仕組みになっているのです。しかし現在、「交付金を減らしていこう」とか「なくそう」といった考え方があります。そのため、今のうちから自主財源率を高くする取組みを進めてておかなければなりません。国の大改革があった時、急激に増収なんてできませんから。『経営のリスク分散』という点からとても大事です。

(つづく)
【文・構成:山下 康太】

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