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福岡市 セアカゴケグモ注意報(中)~知っておくべき特徴
社会
2013年2月12日 07:00

<誤通報に注意!>
 前回は市役所の取り組みを紹介したが、今回はセアカゴケグモの問題を解決するには、市民の協力が欠かせないことについて述べる。
 最も知っておくべきことは、『セアカゴケグモに咬まれた場合は、すぐに病院で診てもらう』、ということだ。

seakagokegumo1.jpg その際、セアカゴケグモに咬まれたと立証できるもの(クモの屍骸や画像)があると良い。他の毒性生物による被害であれば治療法が異なるからである。これは日本におけるセアカゴケグモへの対処法を構築するためにも必須である。市生活衛生課長の渡邉政彦氏は医療関係者に対して、「咬傷事故の可能性がある方を診た場合は、市の生活衛生課に一報して欲しい」と、情報収集への協力を呼びかけている。

 しかし、正しく通報するためには、セアカゴケグモの特徴を知らなければならない。「背中が赤い」というだけで、無害な昆虫をセアカゴケグモと見間違うケースが多いという。まず私たち市民に必要なことは、セアカゴケグモに関する正しい知識である。詳細は、市のHPに詳しいが、講習会で説明があったなかから、以下、その特徴についてまとめた。

<セアカゴケグモの特徴>
1.外見
セアカゴケグモはヒメグモ科に属し、毒を持っているのはメスだけ。メスの体長は約1cm。足を伸ばした全体の長さが約3~4㎝になる。オスは3mm程度。メスの頭の大きさくらいしかない。特徴は、背中には赤く太い縦の模様、腹には砂時計のような赤い模様があることだ。形はヒメグモに似ている。ヒメグモは元々日本に生息するので、セアカゴケグモとよく間違われる。しかし、ヒメグモには毒性はない。

 逆に、ゴケグモをヒメグモと間違う場合がある。ハイイロゴケグモは、背中が真っ黒だが、腹部に赤い模様がある。色が薄いものもいるので、ヒメグモと思われがちだが、このクモもセアカゴケグモ同様の毒グモである。死がいなど、充分に安全なことを確信できない限り、たやすく確認しないほうがいい。

2.生息場所
 セアカゴケグモは、日当たりが良く地面に近いところを好む。網目の巣は造らず、固い糸で不規則な、ごちゃごちゃとした巣を張る。排水溝の隅など、人工構造物の小さな空間を好み、寒い時期になると、落ち葉を絡めて寒気から身を守る。フェンスの隙間やジョイント、水抜き管、石段の出っ張り、路上の設置物、放置物、ベンチの裏側など、よく公園や住宅街で見かける場所に棲息している。

 また、庭も棲息に適している。プランター、鉢の下や裏、そして、屋外に置いたままの靴のなかなどは、格好の"すみか"である。とくに昆虫に興味を持つ子どもや、庭仕事をする方は、セアカゴケグモに咬まれる可能性が高く、注意が必要だ。

3.性質
 幸いにも、セアカゴケグモはおとなしい。身の危険を感じない限り自分から襲ってくるという事はない。駆除にあたったこともある区役所職員は「伝染病ではないので、気をつけていれば被害を防ぐことができる。スズメバチやムカデなど、毒性のある生物が一種増えたと思って、冷静に通報に協力していただきたい」という。ただし、発見区域が広がっている理由が特定できていないので、撲滅に至るには地道な努力を要するようだ。

<高い繁殖力>
 問題は、日本における事例が乏しく対処法が確立していないこと。そして、放置すれば、広範囲において繁殖する可能性があることだ。

 ゴケグモは、繁殖力が非常に強い。2月6日に博多区那珂中央公園で見つかった事例では、46匹のセアカゴケグモに対し、50個の卵のう(卵が入った袋)が見つかった。卵のうは、乳白色をしており、直径は1cm程度。なかには、だいたい100個、多いときは300個の卵が入っている。全部ふ化したら、一気に5,000匹増える勘定だ。しかも、1匹で3、4個は卵のうを産むので、爆発的に増える可能性がある。

 セアカゴケグモは1995(平成7)年に初めて大阪で見つかった。その後、東海地方などでも見つかり各地に広がった。その分布が西日本に集中しているのは、温暖な気候を好むためだろう。東京ではハイイロゴケグモだけが見つかっている。
福岡市では2007(平成19)年に初めて東区のコンテナターミナルで見つかった。08(平成20)年には、その対岸にあるパークコートで見つかり、周辺一帯を捜索すると約700匹見つかった。

 12(平成24)年には福岡市で初めて人が咬まれる事故が起きた。その後、中央区、早良区、城南区でも見つかり次第に分布範囲が広がっていることが判明している。今年に入ってからは、1月に中央区、2月に博多区で発見されている

 発見件数は07(平成19)年に1件、08(平成20)年に17件、09~11(平成21~23)年には4~10件と少なかったが、12(平成24)年には一気に135件に跳ね上がった。この急増に関しては同年9月13日に咬傷事故が起こったため、住民の関心が高まり注意深くなった事が理由として考えられる

 数多く発見されていた東区から離れた場所でも見つかるようになったのは、ゴケグモがいる場所に置かれていた車や資材が移動する際、一緒に運ばれたためと推測されている。それならば、運搬作業の際に、こまめにゴケグモの所在をチェックすれば拡大が防げる。

 市民の協力なしには、セアカゴケグモの駆除は成り立たない。

 ちなみに、セアカゴケグモは、家庭用の殺虫剤でも退治できる。しかし、"死んだマネがうまい"ので、本当に死んだかどうかわからないうちは、素手で触らないよう注意が必要である。

(つづく)

≪ (前) | (後) ≫

▼関連リンク
・福岡市 セアカゴケグモ・ハイイロゴケグモにご注意ください


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