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突然の退任劇、カワイイ区の迷走~今後については検討中
行政
2013年2月22日 16:53

<市PR事業をめぐるドタバタ劇>
kawaiiku.jpg 福岡市の8番目の区として昨年8月29日に誕生した仮想行政区「カワイイ区」が迷走している。2月19日、初代区長であった人気アイドルグループ「AKB48」の篠田麻里子氏の退任が、福岡市から突然発表された。市役所1階におかれてあった篠田さんの等身大パネルは早々に姿を消したが、カワイイ区のホームページから篠田さんの写真が消されていったのは1枚ずつと段階的。

 また、高島宗一郎福岡市長のトップダウンで始まったPR事業にも関わらず、篠田さんの退任について、後になって市長コメントが出るなど、混乱ぶりを露呈した。さらに、今後については「区長の公募を含めて検討中」(福岡市広報戦略室)と、突然の退任劇へと至った経緯に不審感を抱かざるを得ない。

 「カワイイ区」の区民登録はメールアドレスのみの無料登録。登録者には「カワイイ区」関連のイベント情報などがメルマガで送られる仕組みとなっている。登録だけでは、区民の男女構成や年齢構成を把握できず、「篠田さんの男性ファンが多いのでは?」という憶測も流れた。本当に福岡市のPRになっているのか――。設立当初から篠田さんのイメージが強く、また、彼女を全面に出した「カワイイ区」に疑問の声をあげる市民は少なくはなかった。
 篠田さんのファンとはいえ、多くの人に福岡市の情報を知ってもらえることには変わらない。そう考えることもできるが、その場合、区民数の状況に疑問符がつく。昨年8月29日の設立から3日間で区民数は3万人を突破したものの、11月で4万人に到達して以来、ほぼ横ばいの状況が2月まで続いている。篠田さん退任後の20日午後6時現在、その数は4万1,559人。退任を受けて若干減ったという。

<プロセスも方向性も不透明>
 「4万人」という数を市はおろか、多くのマスコミも過大評価している。篠田さんのファンの数からすれば、この数が多いか少ないかは一目瞭然だ。目安として、簡易ブログ「ツイッター」で篠田さんを登録し、その投稿を見ているフォロワーの数をあげれば、その数は約149万人と福岡市の人口に匹敵する。しかし、退任に至るまで、篠田さんが自分の「ツイッター」で「カワイイ区」に言及したのは同区が設立された8月29日のたった1回。「カワイイ区」のフォロワー数は約8,000人と区民の約5分の1。設立当初からPR事業として方向性が定まらず、迷走していたことは否めない。

 ある福岡市議は、「カワイイ区」について「アイドルと市長、その取り巻き連中がトップダウンで決め、事前説明もなく始まった。この上、また、説明もなく区長の退任と、事業内容を変えた」と憤慨する。また、市事業のコンペに参加したことのある民間業者は、「1,000万の仕事が随契で仕様書がペラ1枚。こっちはずっと徹夜で30ページ以上の仕様書を作っている」と恨み節。市のブランディングと情報発信は、市民経済に影響をおよぼす。当然、市政をチェックする市議会を通すべきであり、しっかりとした議論を経て、情報発信の核となる価値を定めてから行なうべきではないだろうか。突然の退任劇については退任から2日経っても市議会に正式な説明はない。市議会は市民の代表者として、今回の一連の経緯について報告を求め、内容を精査すべきだろう。

 また、「カワイイは男女差別」などとする4件の苦情や、市男女共同参画審議会の改善要求だけが退任の理由とは思えない。福岡市の調査報道サイト「HUNTER(ハンター)」は、「カワイイ区」に関わる市特別顧問の問題発言を報じており、また、発言以外にも同区に関わる問題を追及している。同サイトが隠された事実を公にするのは時間の問題であり、初代区長であった篠田さんと福岡市のイメージダウンにつながることは、もはや避けられない。

 1,000万円の予算を投じながら、約半年で頓挫した「カワイイ区」。税金を納める市民としては、お金は"計画的に"遣ってほしいところである。

【山下 康太】


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