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「維新銀行 第三部 クーデター」~第1章 クーデター前夜(38)
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2013年2月26日 07:00

bi_4.jpg 谷野は、
「今日、木下取締役が福岡支店長の原口取締役の携帯に電話して、『あなたの行動は人の道に外れているので考え直したらどうか』と言うと、反対に原口君は、『木下さん、あなたも組合の委員長をされた方ではないですか。我々の仲間じゃないですか。なぜ谷野頭取に味方するのですか』と言ったそうだ。さすがの木下君も彼の言葉を聞いて愕然としたそうです。
 それでも木下君は、『ぜひ会って話をしよう』と必死に説得を試みたが、原口君は、『来ても無駄ですよ。もう電話をしないで下さい』と言って電話を一方的に切り、その後はいくら電話をかけても電源が切れた状態で通話ができなくなったと言って来ました。
 木下君曰く、『原口君にせよ、谷野頭取に退任を迫って来た組合出身の取締役たちは、維新銀行の取締役ではなく、谷本相談役と第五生命の山上正代外務員に飼い馴らされた傭兵に過ぎない』とつくづく思ったそうです。私も木下君と全く同感です」
と、寂しそうに呟いた。

 それを聞いた石野は、
「私も同感ですね。要は組合出身の取締役は谷本相談役から取締役にしてもらったと言う気持ちが強いのでしょうね。だから何があっても谷本相談役のためにと思うのでしょう。その一つの表れが、谷本頭取から『第五生命の山上外務員の保険勧誘に協力するように』と言われると断りきれず、それがたとえ違法だとわかっていても、お互いが競うように勧誘した、ということなのでしょうね」
 と話した。
 谷野は、
「組合出身の取締役だけではなく、栗野会長にしても古谷取締役にしても、基本的には第五生命の山上外務員の保険勧誘に協力した実績を買われて取締役になったと聞いています。
 私の場合は亡くなられた植木会長から取締役に指名されましたが、自分の実力で取締役のポストに就いたのは石野専務であり、堀部取締役、梅原取締役、木下取締役、小林取締役です。
 いずれも組合出身ではなく第五生命の山上外務員とも関係がない。その上谷本相談役と同窓のS大卒でもない。同期との熾烈な戦いに勝利して取締役の座を掴んだこの5人こそが、維新銀行本来の取締役だと思っています。

 今回の件について常盤支店長の堀部取締役だけには連絡はしていませんが、むしろ僕は彼に連絡していないことによって彼がどんな判断を下すのかを見たいのです。もし彼が僕の罷免に賛成する様なことがあれば、僕の経営の仕方に問題があったと言うことになります。僕は『彼が下す判断こそが、一般行員の声なき声を代表するものだ』と思っています。数の上では我々は負けますが、彼の態度表明いかんによって、今回の騒動でどちらの言い分に正当性があるかのバロメーターになると思っています」
 と、日頃自分が感じていた人物評をきっぱりと語った。石野も、
「堀部君とは、小倉本部長と小倉支店長のコンビで一年間一緒に仕事をしましたが、しっかりした自分の考えを持っており、決して付和雷同する様な男ではないです」
 と、谷野に大きく頷いて見せた。

(つづく)
【北山 譲】

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※この作品はフィクションであり、登場する企業、団体、人物設定等については特定したものでありません。


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