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「維新銀行 第三部 クーデター」~第2章 クーデター当日(10)
経済小説
2013年3月21日 07:00

<経営会議(9)>
 大沢監査役の話が終わると改革派の小林取締役が挙手し、落ち着いた口調で、
「私も先程申された木下取締役と一緒で、退任の理由が明確でないのではないでしょうか。要するに退任するなら、例えば不祥事を自分で行なったとか、おかしなことを行なったとか、そういうことであれば退任求められてもやむを得ないと思います。それから皆さんが言われましたポジティブな評価であれば、例えば2期4年、あるいは3期6年やられた段階で、ポジィティブな評価でご退任いただくと言うのであれば、私は結構だと思います。

 ただ、1期2年しかやっておられない今の段階で退任いただくには、明確な理由がないというのが率直な感想です。それから新たな体制でスタートしたいということですが、前回のBSコンサルティングのアンケートに、谷野頭取を除く役員14名が回答を寄せ、また部室長の20名も回答をしています。そのなかで谷野頭取のリーダーシップについての質問には、役員の皆さん全員が『良くやっている』と回答しておられます。それから経営職以下の一般の方々もリーダーシップについては『問題ない』とし、他行よりも『良好』という評価でした。そういう評価を皆さんはしておられながら、今この経営会議の場で急に、『谷野頭取のリーダーシップが欠けている』というような感じの評価を下されるのは、私は間違いだと思います。

 反対にその時、ここに出席されておられる役員の皆さんも含めて、『谷野頭取のリーダーシップに問題あり』という結論を出していたのであれば、それは確かに当たると思いますので、皆さんの言われることは正しいかと思いますが、そうではないのに、今になってそういうことを言われることは間違いというのが私の見解です。
 お互い人間ですから好き嫌いの問題などもあるかと思いますが、谷野頭取は仕事について本当に一生懸命やられておられるし、営業店、本部を含めいろいろな行員と、『維新銀行は将来どうあるべきか』を真剣に話し合われておられます。その行員たちに、頭取が替わった時の説明を我々役員が胸を張って本当にできるのか、その辺のところも含めてぜひ、今回の動議についての判断にしていただきたいと私は思います」
 と、熱っぽく訴えるように話しかけた。

(つづく)
【北山 譲】

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※この作品はフィクションであり、登場する企業、団体、人物設定等については特定したものでありません。

【筆者より】
 昨年の3月21日より「維新銀行 第一部 夜明け前」の連載を始めて、満1年を迎えることができました。これもひとえに読者の皆様方の温かいご支援の賜物と心より感謝申し上げます。引き続きご愛読いただきますようお願い申し上げます。


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