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北九州を舞台に繰り広げられる三つ巴の金融戦争(前)
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2013年4月 3日 07:00

 山口銀行から九州地区の営業を分割継承して新設された北九州銀行は、2011年10月3日の設立以来から早や1年半が経過しようとしている。その間、北九州銀行を迎え撃つべく、福岡銀行、西日本シティ銀行も着々と営業基盤の強化に乗り出している。北九州市内および周辺地区では、3行による三つ巴のシェア争いから、当面、目が離せない状況。北九州市周辺を中心として九州各県への新規出店をうかがう北九州銀行に対して、九州各県の地銀も営業の強化に乗り出している。そのため、北九州銀行に営業譲渡された旧山口銀行の支店は、福岡銀行のお膝元である福岡市内はもちろん、各地区の地元地銀の攻勢を受けて苦戦を強いられていると言われている。また、頭取交代劇の代償として倒産寸前のもみじ銀行を引き受けさせられたが、そのもみじ銀行も地元銀行の広島銀行の攻勢を受けて、厳しい状況が続いている。

<3グループの預貸金について>
 【表】の預貸金の計数は、2012年12月31日(2013年3月期第3四半期)の末残である。
 ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)については、グループ3行合計の預金の伸び率は4.82%、貸出金の伸び率は3.74%とバランスが取れている。目に付くのは、ボリュームの小さい熊本ファミリーが貸出金を大幅に伸ばしていること。しかしこの3月末で期限切れとなる中小企業金融円滑化法(通称:返済猶予法)により、不良債権化する恐れがあり、収益状況は厳しくなることが予想される。
 山口フィナンシャルグループ(YMFG)については、山口銀行は山口県内の人口減少や近鉄松下百貨店(13年3月6日)の閉鎖、来年3月末で出光興産の徳山製油所が閉鎖を発表するなど、県内産業の低迷から預貸金とも伸び率は1%台と低迷している。また、YMFGのなかで低迷が目立つのがもみじ銀行で、預金の伸びはほぼ横ばい。貸出金に至っては▲5.08%となっている。これは、北九州銀行が伸ばした以上の減少となっており、YMFGの貸出金の年率は▲0.13%と低迷している。北九州銀行の預金の伸び率は6.93%、貸出金の伸び率は8.31%と、預貸金とも表中では一番高い伸び率ではあるが、新設銀行としては低い伸び率に止まっている。新設店舗の増設に人手を取られ、既存店が厳しい状況にあることが読み取れる。
 西日本シティ銀行グループについては、西日本シティ銀行の預金の伸び率は1.65%、貸出金の伸び率は2.66%と、福岡銀行と比較すると見劣りする数字となっている。長崎銀行は預金が▲5.76%と預金が集まりにくい状況が垣間見える。貸出金の伸び率は3.13%となっているが、もともとのボリュームが小さいためグループへの貢献度は低い。いずれにせよ将来的には西日本シティ銀行との合併は避けられないと関係者は見ている。

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<預貸金から見える3グループの実力度>
 今回の預貸金は12月末であり、その銀行の通常の実力度が測れる計数である。3月、9月はどこの金融機関もドレスアップするケースが多く、実態と合わない数字が並ぶが、12月末の計数は平均的に期中の平残との乖離が少ないと思われる。
 3グループの預貸金の増加額については、FFGの預金の増加額は5,283億円、貸出金の増加額は3,307億円。YMFGの預金の増加額は1,233億円、貸出金の増加額は▲72億円。西日本シティグループの預金の増加額は935億円、貸出金の増加額は1,437億円となっている。
 預貸金計数から読み取れる実力度については、FFGが安定して着実に預貸金を伸ばしていることが読み取れる。FFGの預金の増加はYMFGの4.2倍、西日本シティグループの5.6倍のボリュームと断トツに高い。貸出金についても、FFGは、YMFGの▲72億円に対して3,379億円増、西日本シティグループの2.3倍と高い。
 今までは3グループによるせめぎ合いが続いていたが、将来的には1強2弱の体制となる可能性が高いもの見られている。YMFGにせよ、西日本シティグループにせよ、今が正念場かもしれない。

(つづく)
【北山 譲】

| (後) ≫


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2013年4月 1日 17:22
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