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北九州を舞台に繰り広げられる三つ巴の金融戦争(後)
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2013年4月 4日 07:00

 山口銀行から九州地区の営業を分割継承して新設された北九州銀行は、2011年10月3日の設立以来から早や1年半が経過しようとしている。その間、北九州銀行を迎え撃つべく、福岡銀行、西日本シティ銀行も着々と営業基盤の強化に乗り出している。北九州市内および周辺地区では、3行による三つ巴のシェア争いから、当面、目が離せない状況。北九州市周辺を中心として九州各県への新規出店をうかがう北九州銀行に対して、九州各県の地銀も営業の強化に乗り出している。そのため、北九州銀行に営業譲渡された旧山口銀行の支店は、福岡銀行のお膝元である福岡市内はもちろん、各地区の地元地銀の攻勢を受けて苦戦を強いられていると言われている。また、頭取交代劇の代償として倒産寸前のもみじ銀行を引き受けさせられたが、そのもみじ銀行も地元銀行の広島銀行の攻勢を受けて、厳しい状況が続いている。

<3グループの北九州における展開>
bi_6.jpg FFGは北九州地区での営業強化を図るため、旧北九州本部および北九州営業部が入居していたビルの建て替えに着手。今月18日、拡張した旧店舗跡地に北九州本社ビルが完成し開業した。なかには福岡銀行の北九州本部と北九州営業部が入居。谷社長は「北九州本部と地区内の営業店とが一体となってきめ細やかな営業を推進し、プレゼンス(存在感)を高めていきたい。展開によっては人員も増やす」と、北九州銀行の攻勢を意識した抱負を語っている。
 また福岡銀行は2月18日、行橋支店を新築オープン。3月18日の北九州本部ビルの開業に続き、3月25日(月)に、ひびきの支店(北九州市若松区)を新たに開設し営業を開始した。

 北九州銀行は福岡銀行の北九州営業部の開店と同じ18日、福岡県苅田町に苅田支店をオープン。苅田町への進出にあたり加藤敏雄頭取は、「北九州銀行の浸透度はまだ十分とは言えないが、時間をかけて努力していけば認知度は高まる」と、将来の展望を語った。
 西日本シティ銀行も「北九州は重要地域」として、一歩も引かない構えを見せている。また、同行は山口銀行の本店(下関市)のお膝元にある旧店舗を建て替え中で、4月15日に下関支店を新築開業し、山口銀行への攻勢を強めるものと見られている。
 北九州地区の1月末時点の貸出金シェアは、福岡銀行27.5%、西日本シティ銀行26.8%、北九州銀行11.7%となっている。

 ある関係者は、「昨年度まで西日本シティ銀行のシェアが福銀を上回っていたが、この1年で福岡銀行が逆転しトップになった。福岡銀行は大手企業との太いパイプを活かした営業活動に定評があり、一方の西日本シティ銀行は中小企業取引に強い特色を前面に打ち出し、両行ともその営業地盤は強固なものを持っており、むしろ両行のシェア争いの方が熾烈になっている。新設して1年半になる北九州銀行ではあるが、福岡銀行と西日本シティ銀行の融資競争の煽りを受けて、シェアはあまり上がっていない。昔は山口銀行の預金を使って収支を度外視した低利の融資攻勢をかけ、他行肩代わりをしてシェアを伸ばして来たが、今は北九州銀行として自前の独立採算制度を取らざるを得ず、金利競争よりも収益重視になっている。そのため、むしろ福岡銀行や西日本シティ銀行の攻勢を受けて防戦していると聞く。その大きな理由は、北九州銀行は新規出店に中堅行員を充てるため、既存顧客の管理する人材が不足して取引が疎遠になったり、他行に肩代わりを受ける悪循環に陥っているからだ」と言う。

 山口県内には福岡銀行、西日本シティ銀行とも下関支店、宇部支店を開設しており、県境を越えた競争も激しさを増している。
 FFG社長で福岡銀行頭取の谷正明氏(69)は、今年6月に地方銀行協会会長に就任する。九州からの会長就任は初めてで、FFGの存在が全国の地銀から認められたことになる。このままFFGの独走が続くのか、それともYMFGと西日本シティ銀行グループの巻き返しが始まるのか―。金融関係者は、固唾を呑んでその行方を見守っている。

(了)
【北山 譲】

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