ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

コダマの核心

大和ハウス工業、売上高10兆円目指しM&Aを加速(後)
コダマの核心
2013年4月23日 07:00

<塗り変わるマンション業界地図>
mansyon_img.jpg 今年はマンション再編が加速した。大京は4月1日、穴吹工務店(高松市)の全株式を307億円で取得し、子会社化した。穴吹工務店は07年に年間マンション供給戸数で業界1位になったことがある。だが、リーマン・ショック後の急激な需要減で09年に会社更生法を申請。会社更生法手続きが終結したのにともない、提携していた大京が子会社に組み入れた。

 ライオンズマンションとして首位を独走していた大京は経営が悪化し、産業再生機構の支援を得てオリックスの傘下に入った。大京の12年のマンション供給戸数は3,130戸で業界6位、穴吹工務店は1,376戸で15位。両社の供給戸数を単純合計すると4,506戸となり、住友不動産を抜いて4位に浮上。首位への返り咲きを狙うポジションにつけた。

 振り返れば、08年9月のリーマン・ショックがマンション業界の転換点となった。05年は16万7,465戸を供給、毎年10万超の戸数を維持していた。だが、リーマン・ショックによる金融危機で市場は一変。供給戸数は7~8万戸に激減。12年は持ち直したが9万3,861戸と低水準のままだ。

 群雄割拠していた業界は、中小マンション業者の淘汰が進み、野村、三井住友、三菱地所、住友の旧財閥系に集約された。首位の野村證券系の野村不動産は、中小業者の倒産で空白地帯となった一次取得者向けの郊外型の低価格マンションに本格進出し、初のトップに躍り出た。旧財閥系の大手を追うのが、大京、大和ハウスというのが、今日のマンション業界地図だ。

2012_rank.jpg

<創業者、石橋信夫氏に心酔>
 大和ハウスのもう1つの買収案件はダイヨシトラスト(福岡市、大穂義弘社長)。全株式を株式公開買い付け(TOB)で取得する。買収価格は1株1,066円で、取得額は28億8,000万円。パーキングを運営し、13年8月期の売上高は前期比16%増の52億円、当期純利益は同15%増の3億円の見込み。新たな土地活用用途の開発の一つとして、賃貸駐車場建設・運営事業に本格参入することを目的にダイヨシ社を買収することにした。

 大和ハウスは今年1月、準大手ゼネコンのフジタ(東京・渋谷)の買収を完了した。昨年500億円で買収すると発表していたが、中国の独占禁止法上の審査が長引き、承認が大幅に遅れていた。尖閣諸島をめぐる日中関係の悪化が影響したといわれた。
フジタ、コスモス社の買収で、大和ハウスの連結売上高は住宅大手として初めて2兆円を超えることになる。売上高が2兆円を超えるスーパーゼネコンはない。大和ハウスはゼネコンと住宅の両業界をまたいで売上高のトップに立つ。

 大和ハウスの樋口会長は、この程度で満足しない。目標は、創業100周年に売上10兆円。創業者の故・石橋信夫氏の夢であったからだ。著書『熱湯経営「大組織病」に勝つ』(文春新書)には、石橋氏に対する心酔があますことなく書かれている。「社葬はするな。わしは一日たりとも仕事をやめてほしくないんや」。樋口氏にこう遺言した。
樋口氏は10兆円を目指して走り続ける。次は、どこを買収するのだろうか。

(了)

≪ (前) | 


※記事へのご意見はこちら

コダマの核心一覧
コダマの核心
2013年3月21日 14:15
コダマの核心
2013年3月 8日 10:34
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル